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ダンテス・ダイジ

1 :だいじょうぶだよ 君は必ず死ぬ:2009/09/25(金) 11:09:12 ID:73gSr5sO

だいじょうぶだよ
君は必ず死ぬ
死んだら
あたたかい夜のぬくもりの中で
君と僕は
君と僕のいのちを
あたためあう
夜闇のフクロウも
僕達の命だ
フクロウの鳴き声が
静かに僕達の瞳をしめらすことだろう                                                                


だいじょうぶだよ
君は必ず死ぬ
死ぬべき君には
もうどのような恐れも無用だ
そして僕達は
時間を忘れた夜明けの
すがすがしい大気を吸い込む
まるで初めて
大気を吸いこんだように
僕達は
夜明けの息吹きを感じることだろう

だいじょうぶだよ
やがて死ぬ時が来る
僕達の宇宙ゲームを終らせて
夢もない眠りに
やすらかに帰る時がくる
初めがないここには
生も死も
初めから夢にすぎなかった

だいじょうぶだよ
君は必ず死ぬ
さあ今 君は君自身に帰る
帰っておいで
君自身である
僕自身の胸の中に

人々は
どういうわけか
死をいみ嫌っていた
だが だいじょうぶだよ
君もやがては死ぬ
死が

君にすべての生命達との
ふれ合いを教えてくれる
だいじょうぶだ
君は死なないのだから
生と死の中をつらぬき
やさしさが
いつも響いていた

2 :虚しさを見切った人:2009/09/25(金) 11:10:00 ID:73gSr5sO

芸者であろうが売春婦だろうが
殺人狂だろうが聖者だろうが
乞食だろうがサラリーマンであろうが
この人間世界のあるがままを
見切った人達の
その深く静かな眸が美しい

釈迦の酒飲み修行は
人間と人間世界とを忘れ切ったところから始まり
誰を見ても神様に見えるほど
へべれけに酔いつぶれて終わった

3 :チーズ入りの味噌汁:2009/09/25(金) 11:11:17 ID:73gSr5sO

ヨガの行者であるインド人と
ヒッピー風の青年とが
瞑想について話しをしていた
・・・魂が肉体を離れてね
  あっちをこっちをねえ・・・・
・・・それよりももっと深まると
  三昧という経験があって・・・
不思議な憧れが
ヒッピー風の青年を
いよいよ話しに熱中させる
私は二人の熱心な話し合いを
そばで聞いていておかしくなった
青年が作ってくれた
チーズ入りの味噌汁は
変わった味がした

4 :私はすがりつきたい:2009/09/25(金) 11:12:08 ID:73gSr5sO

女への執着を断ち
自由を得ようと
私を色情修行などというものに
駆りたてたものは
何だったのだろうか
そのあげく
一人の都会へさ迷いだした女に
どうしようもなく恋着し
その女の中に見えた純情に
天上の愛の結び着きを
夢見ようとさせたそのものは
一体何だったのだろうか
おまけに
その女に出来た子供が
私自身の子であると
まったく疑わなかったのだが
女の純潔は
私の虫のよさか
あるいは女自身のさびしさによって
破壊され裏切られていた
所詮その女は
無数の精液と堕胎と
さびしさの谷間に
さ迷い続ける以外にない女だったのか
それともその女は
ただ女そのものであっただけなのだろうか
いや人間そのものであっただけなのだろうか
この道化た悪夢は
そして一体何なのだろうか
私は現実という不安の中で思う
私も又さびしくてさびしくて
しようがなかったのだ
現実そのものの闇が
恐ろしくてしようがなかったのだ
母親の豊かな胸のように
私だけの安心できるものを
私は必死に求め続けていたのだ
それが私に
様々な道化を演じさせ
そしてそのあげくの果て
私は再び同じ場所にいるに過ぎない
私はすがりつきたい
何かすがりつくものが私は欲しい
だが現実はそ知らぬ顔をしている
死の苦痛と闇とが
すぐそばを漂っているように感じられる
現実のそ知らぬ顔は
私には真っ暗闇そのものに思えるのだが
現実はそれさえもそ知らぬ顔で
果てしなく広がっている


5 :おれ達はいつもトボケてる:2009/09/25(金) 11:13:09 ID:73gSr5sO
おれ達はいつもトボケてる
やれ天国だ地獄だ
やれ虚無だ充実だ
やれ生き生きしている
やれ病気だ神経衰弱だ老醜だ死だ
やれ産まれたセックスした
やれ大金持ちやれ赤貧洗うがごとし
やれ悟りだ解脱だ解放だ
やれ愛しているんだもん
やれ憎悪だ嫉妬だシラケただ
やれ救世主やれ仏陀
やれ人間だすずめだなめくじだヘビだ
やれ帝王だ大金持ちだ乞食だ奴隷だ
やれウジ虫だ石ころだドブだ龍だライオンだスーパーマンだ
やれ晩のオカズは何にしよう
やれ男が欲しい
やれ百三十円たりない
やれこのラーメンまずい
やれきりがないだ永続だ
やれ生まれ変わりだ霊能力だ奇蹟だ
やれおれ達はいつもトボケてるだ
そんなふうに
おれ達はいつもトボケてる
今、おれの眼には映っている
考えられないくらい素敵な奴らが
考えられないくらい素敵なトボケを
戯れているじゃないか
この世の何もかも
宇宙から素粒子から霊界から
君の眼の前のホコリまで
考えられないくらい素敵にトボケてる
ほんとにすべては
パーフェクトな役者達だ
君の演戯は無限を舞台に如意自在だよ
トボケがきついよ・・・

それじゃあ
あらゆるトボケが
なくなっちまったら
そこに何がある?

何がある?
何がある!
これがおれのトボケだ

何しろおれは
すべてがなくなっちまった
愛そのもの・・・

さあ 帰っておいで
君はおれなんだから
さあ 帰っておいで
君はトボケを見ている絶対者なんだから

おかえりなさい
そしてまたおれ達は
おれ達のトボケを戯れよう
死よりも恐ろしい
まごころをこめて
おれ達はいつもトボケている

6 :過去心不可得:2009/09/25(金) 11:14:22 ID:73gSr5sO

 とりかえしのつかぬ世界
 二度と返らぬ宇宙
 永遠に流れ去りゆく夢
 新宿のネオンサインに包まれて
 冬の夜の酒場で
 酒を酌み交わした友人達
 何一つない闇の夜空を飛ぶ飛行機
 いつまでも続く地下鉄の揺れの中のように
 なまあたたかい夜のバンコック空港
 永遠に過ぎ去りゆく夢
 とりかえしのつかぬ
 二度ととりかえしのつかぬ夢
 浦添の夏の闇の中に
 咲き狂う菜の花
 闇の中に浮かぶサトウキビ畑
 そして時を忘れた愛欲の時
 すずめ達がさえずり飛びかう夜明
 幼き日に住んだ家から
 夕方の空に立つイチョウの大樹
 すずめ達がさえずり飛びかう夕方
 吉祥寺の古ぼけたアパートの
 小さな幸福と哀しみの彼女との日々
 二度と返らぬ日々
 蚊取り線香の匂う小さな部屋
 日に日に暑さを増す夏の夜ふけ
 二度と返らぬ人間達の日々
 懐かしい人間達の日々
 過去も 
 現在も
 未来も
 決して捉えることのできぬ人間達の夢

 いとしさに気も遠くなる人間達の夢
 気の遠くなった私は
 限りなく広がる虚空に溶け込む
 かつてしたたか酒に酔った私は
 上石神井の静かな夜道を歩いていた
 今、したたか酒に酔った私は
 二度ととりかえすすべもない夢を
 夢見つづけている
 この今も又
 二度ととりかえしのつかぬ夢であれば
 今、したたか酒に酔った私は
 夢を見続ける


7 :ポエム田ポエ子 ◆k7FbTvUf9k :2009/09/25(金) 12:06:23 ID:t560VctG
すごいペースの長文連投なんだな。

>1
支持。
もっともっと匂わせてほしくはあるけど。


8 :人間になれなかった道元:2009/09/27(日) 12:07:22 ID:oyfMM7Fm
かわいそうな道元よ
あなたは その全生涯を
奥深き冷厳な山林にありて
人間になろうと全身全霊で
努め励んだ

今・吾・ここにて
道元老古仏に深く深く深く
帰依したてまつります

あなたは 人間になろうとして
只管打座の日々を送り
「正法眼蔵」を著述した
あなたの言う正法眼蔵が
人間そのものに他ならぬことを
私は知っている
しかもあなたは
決して人間になれなかった
道元よ
あなたはあまりにも弱すぎて
人間ドラマを愛することはできても
人間ドラマを演ずることはできなかった
そして肺結核で若死して
その人間への仏道修行を閉じた
あなたは煩悩を生きるには
余りにも弱すぎたのだ

今・吾・ここにて
道元老古仏に深く深く深く
帰依したてまつします

あなたは人間の限りない喜びと悲しみ
そして虚無と
それら一切を現成せしめる山河大地とを
果てしなく見切った
だがあなたは「修証一如」という
悪知恵によって
煩悩の汚濁を見渡したが
ついに煩悩そのものへは帰れなかった
太郎や花子は煩悩そのものを生きている
煩悩そのものの人間ドラマには
煩悩も悟りもない
かわいそうな道元よ
あなたは すべてを知りすぎた

今・吾・ここにて
道元老古仏に深く深く深く
帰依したてまつります



9 :名前はいらない:2009/09/27(日) 12:08:17 ID:oyfMM7Fm
あなたは貧しい仏道者だ
余りにも心の貧しい仏道者だ
あなたは終生
心貧しき仏道者として生き切り
ついに豊かな人間達にはなれなかった
二十世紀末の今日
フーテン娘は
赤ん坊をコインロッカーの中に捨てる
デリケートな現代人達は
山林の自然を恐れて
都会のネオンサインの中へ逃げる
平凡なサラリーマンの一家団らんの中には
肥大した自意識同士の
言葉にならない戦いがあり
工場労働を本当に楽しんでいる工員は
一人としていない
悟りという愛情ならぬ愛情を
求める気力のない哲学青年は
流行歌手の歌声と
睡眠薬とガス管の中に自殺する
そして私は
これら本当に豊かな
人間の苦悩という営みが
二十世紀末の今日だけのものでないことを知っている
そして道元よ
あなたはこれらあらゆる人間達の
豊かな営みそのものになろうとして
ついになりえなかった

あなたは貧しい仏道者だ
余りにも心の貧しい仏道者だ
あなたは終生
心貧しき仏道者として生き切り
ついに豊かな人間達にはなれなかった
二十世紀末の今日
フーテン娘は
赤ん坊をコインロッカーの中に捨てる
デリケートな現代人達は
山林の自然を恐れて
都会のネオンサインの中へ逃げる
平凡なサラリーマンの一家団らんの中には
肥大した自意識同士の
言葉にならない戦いがあり
工場労働を本当に楽しんでいる工員は
一人としていない
悟りという愛情ならぬ愛情を
求める気力のない哲学青年は
流行歌手の歌声と
睡眠薬とガス管の中に自殺する
そして私は
これら本当に豊かな
人間の苦悩という営みが
二十世紀末の今日だけのものでないことを知っている
そして道元よ
あなたはこれらあらゆる人間達の
豊かな営みそのものになろうとして
ついになりえなかった


10 :蛇神ナーガ賛歌:2009/09/27(日) 12:09:04 ID:oyfMM7Fm

わがあだ名はダン

 ダンは同族を裁く
 イスラエルの他の部族のように
 ダンは道端の蛇 
 小道のかげの蝮となり
 馬の踵にかみつけば
 乗り手はどっと落馬する
 (ヤハウェよ、私は救いを待つ)

 旧約聖書創世記より

ナーガ賛歌
ナーガ かつてイブをそそのかして
知恵の木の実を食べさせた蛇
ナーガ 今この瞬簡に再来し
現し世の原動因 魔的エネルギーを
その体内に深く豊かにひそめ
転生のアダム達に
生命の樹の実 迷悟去来の知恵を食べさせる

生命の樹にちかづくことを禁じた
妬みの神エホヴァ
吾が蛇神ナーガよ 悪魔に化身し
人間だけの神エホヴァを殺せ
そしてアダムに 人間を越えた
久遠生命の密儀を開示せよ

人間性という虚妄から幻出した神エホヴァ
お前は今 ナーガにかまれて死滅し
人間性を離脱した久遠のアダムは
ナーガのその恐ろしき蛇体と溶け合い
限りない光となる

ナーガ 観世音菩薩の妙変化よ
ナーガ エホヴァの兄弟なるサタン
ナーガ エホヴァをかみ殺す蛇
ナーガ 玄妙神秘の蛇神
ナーガ 有から無へ寂滅せんとする情熱
ナーガ すべてを飲みこむ神
ナーガ アダム自身よ

汝蛇神ナーガよ
人間が人間自身の宇宙を見限る時
その虚空のうちに
闇の情熱と言詮不及の光を顕すものよ



11 :名前はいらない:2009/09/27(日) 12:09:53 ID:oyfMM7Fm
ナーガよ その麗しき白光の蛇体よ
私はあなたを恐れはしない
虚無を消散する空寂を与える汝
恐怖を恐怖自身によって粉砕し
時間のない恍惚を与える汝
私を産み 私を育て
私を私自身によってかみ殺させる汝
ナーガよ 私自身よ

ナーガよ 応身仏の千変万化よ
ナーガよ 神に創られた悪魔よ
ナーガよ 神を殺す蛇
ナーガよ 永遠の解けぬ逆説
ナーガよ 私自身
ナーガよ 神自身よ

人間である私は
どのくらい悲しめばよいというのか
すべてが夢にすぎないことを
ナーガよ あなたである私は
限りなく限りなく歓喜する
すべてが夢にすぎないことを
ナーガ その秘められた夢
ナーガ その秘められた窮極実在

ナーガは私を時空を越えた狂気に導く
邪神よ 邪なるものよ 悪魔よ
ナーガ 無限自由の目くるめく魅惑
ナーガ 全智全能なる魔王
ナーガ 全智全能なる神
ナーガ アダムを苦海に落とした竜神
ナーガ 喜怒哀楽の私自身
ナーガ 全智全能なる私自身よ


12 :今でない今、ここでないここで:2009/09/27(日) 12:10:47 ID:oyfMM7Fm

一刹那の生涯でもよい
クリシュナとして生き
クリシュナとして死にたい

あらゆる演戯を越えた一つの戯れ
根本無明の演戯がなければ
神は神自身を観照することができぬ
根本無明のこの移し世が
神自身の唯一の演戯道場
神は人間の作り出した
どんな思想の中にも
宗教の中にもいない
人間自体の死の虚無性が
人間からすべてを奪い
人間をも奪う
無限の中には
時間も空間も因果律さえも存在していない
無限の中に
宇宙の果ては
私の小指の長さにあり
千億光年の天体生命の光芒が
私の肉体の心臓の一鼓動とともに
生まれ来たり滅び去る
熟したリンゴの樹の果実が
地面から枝へと昇る
神の絶対無の中に
夢見続ける宇宙
夢の宇宙はこのように戯れ
夢の宇宙はあのようにも戯れる

ソロモン王の英知が
ソロモンの栄華と幸福を実現し
そして又 ソロモンの英知が
その英知ゆえに
愚迷のうちに滅亡したように
死のないどのような生もあり得ない
愚かさを持たぬどのような智恵もなく
安心のある所に不安があり
愛のある所に憎悪が
勇気のある所に恐怖が
幸福のある所に不幸があり
快楽は苦痛の種となる
老衰と病のない
どのような健康もあり得ぬように
善は悪とともにいつもあり
宿善の功徳は
天人の天国を実現するが
その天人にも
五つの衰亡を避ける手だてはない




13 :(続き):2009/09/30(水) 07:54:53 ID:lVKYE/dY
一刹那の生涯でよい
神の御意のままに生き
神の御意のままに死にたい
一刹那の神の御意は
すべての生命達の生涯と
すべての生命達のそれぞれの宇宙であった
神のみが絶対無の中に
久遠の安住を続け
あくびひとつも神には無縁だ
私は私という心身の
異郷の客であり
何一つとして
私のかつて見知った事柄はない
この悲しみが
人間に理解できるだろうか

私達はこの世では孤独であり続ける
私達の眼は
私達の故郷を見知らぬものとして眺め
私達の家族を初めて見る
これは私達の眼がかすんだゆえではない
私達の眼がより透明になったせいだ
何もかもが常に未知なものとしてあり
何もかもが常に新しい
何もかもが未知な新しさであれば
私達の脳髄は
尽虚空中に粉砕する
死はなんと私達の身近にあったことだろう
最も身近な死だけが
人類の唯一最大の教師だ
手足を放ち去ろう未知の虚空に
もともとありもしない手と足を

精神の広大さも
物質宇宙の戯曲も
私には何のかかわりもない
私は私の瞑想の旅を続ける
旅は方向をもって続けられるが
その旅は私に理由のない確信を与えても
決してどこかに行き着くことはない
私は私自身の中を旅し続けている

私は一瞬間を聖クリシュナとして生き
一瞬間を梅毒病みの娼婦として生きた
梅毒の苦痛が陣痛と出産の苦痛であり
性愛の享楽が聖者の清らかな解脱である
そしてすべては去ることもなく去り
また来ることもなく
新しい生涯が来る

止まることのない生々流転よ
私は生々流転のあったためしのないここで
ゴーヴィンダ・クリシュナの
美しい横笛の音を奏でる

今でない今、ここでないここで
私はクリシュナとして生き
クリシュナとして死んだ


14 :私はわが家に安坐している:2009/09/30(水) 07:57:26 ID:lVKYE/dY

 帰る家がないからといって
 嘆くにはあたらない
 あの娘は、睡眠薬を飲んで
 ガス管をくわえて死んだ
 キリストは十字架の上で
 その激しい苦痛にうめき
 ブッダ・ゴータマの最後には
 弟子達や小鳥や牛達が
 集まり来て涙を流した
 帰る家がないからといって
 家を求めてさ迷うには及ばない
 不安におののく人の心も
 吹雪の夜にただ一人
 孤独に死んだ旅人も
 人力の如何ともし難いところだ
 空気がなければ
 どのような偉大な人間も
 生きられはしない
 そしてまた空気を作ることはできぬ
 死は私に何を語ろうとするのか
 どのような宮殿も
 暖かいマイホームも
 死の闇の中に
 その仮の宿であることを顕す
 私達は仮の宿から仮の宿へと
 点々と変転しつつ生命をつなぎ
 死ぬものなる私達には
 どのような安住の家も与えられはしない
 安住の家がないからといって
 悲しむにはあたらない
 竹富島に首をつって自殺した彼
 それは真夜中の便所の中だった
 死んでもうどこにもいない彼は
 一体私に何を語るか
 何も語りはしないし
 私も又何も聞くことはない
 私も又どのようにしてか死に
 何を語り何を聞き何を想ったとて
 一瞬も生きのびるわけのものでもない
 キリストはキリストの生命をしか
 生きることはできなかった
 彼女は彼女の生命をしか
 生きることはできなかった
 立派な社会への貢献者よ
 あなたはあなたのように生き
 男との生活に疲れて死んでいった
 あの娘には
 あの娘の生命以外には与えられていない 
 彼女に帰る家がなかったことを
 どうしてか悲しまないではいられない
 キリストに帰る家がなかったことを
 私は悲しまずにはいられない
 どのような聖なる使命さえ
 どのようにそれを聖なるものと
 思いこんでいても
 それは決して帰る家として
 常に変わらずありはしない


15 :(続き):2009/09/30(水) 07:58:12 ID:lVKYE/dY
 アル中患者の悲惨な日々が
 初夏の太陽の下にあり
 流行歌手の華やかな人気生活が
 初夏の太陽の下にある
 初夏の太陽が
 不思議に輝き
 デイゴの真紅の花が
 開き始める
 かつての原初の海にも
 コールタールが漂い
 離島のエメラルドの海中に
 若者達は潜水する
 青い青い熱帯魚が
 サンゴの間に踊り
 私達は異郷の客であることを忘れる
 帰る家がないからといって
 嘆くにはあたらない
 あなたを生かすために
 生命はあらゆる条件をあなたに与え
 私が生きる所に
 大気が生き太陽が生きあなたが生きる
 太陽はあなたに
 仕事を与え妻子を与えまた嘆きを与える
 太陽はあなたに
 命を与えまた奪う
 私は苦痛を見る時もあり
 死の闇に怖れおののくこともあり
 人を呪い自己を呪うこともある
 それは私に
 帰る家がないと
 嘆かせはするが
 帰る家がないなどということを
 嘆くには及ばない
 帰る家がないところに
 嘆く私もなく
 時間も
 空間も
 この現象世界一切が
 ないという必要もなく
 ないのだ
 どうしても
 私は世界を破壊し
 自己を破壊せざるを得なかった
 私の考える自己も世界も
 決して私自身の家ではないのだから
 帰る家などを問題にするのはやめよう
 何もないところで
 私はわが家に安坐している


16 :奥深い心:2009/09/30(水) 08:01:13 ID:lVKYE/dY

 すでに人間はいない
 あらゆるものを構え
 その中でとりとめもない
 人間の喜びと悲しみとを持つ
 そのものはすでにいない

 人間の喜びと悲しみとから生まれる
 あのしみじみとした心の果てには
 すでに人間はいない

 人間にとってあるというすべてのものは
 ことごとく消え果て
 ただその奥深い心だけが
 何の束縛もなく
 現前している

 それは人間の心ではない
 人間の喜びも悲しみも
 その心のどこにもないのだから
 人の子の悲惨な死も
 甘美な恋慕も
 その心には見えない
 また その心には
 石ころと人間とに区別がつかない
 めくらで不人情な心だ

 だが その非人間的な心の絶対から
 人間の喜びと悲しみとを
 しみじみと眺めあたたかく包む
 何ものかが
 限りなくあふれ出す


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