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ヘイドレクの物語3

1 :名無し物書き@推敲中?:2010/03/29(月) 03:48:14
「あなたを主人公にした作品を書くわ…」
女はそう言うと、権田の逞しい腕の中で目を閉じた。
権田もまた、女のか細い身体を抱きしめ、その長く美しい黒髪の中に顔を埋める。
つややかな髪の中より薫り立つ、控えめな女の匂い…その新鮮さに、思わず権田も言葉を失う。

「私が権田さんを独り占めにできないことはわかってる。でもね…」
女は言葉を続ける。権田の腕の中で、目を閉じたまま。甘い囁き声で。

権田もまた無言だった。いや、言うべき言葉を見つけることができなかったのだ。
欲に塗れ、俗に染まり、それでもなお突き進む権田俊行。
だが、彼はここで生まれて初めてと言ってよい、本当の恋を知ってしまったのだ。

「でもね、権田さん。私はあなたの魂を受け止めることが出来るの。その生き様を…」
窓から優しい春風がたなびく。その生暖かい感触が頬を伝うのを感じた。
それは今まで感じたことの無い、本当の雅だった。権田が今日まで一度も感じたことの無い、美しい夢幻の調べ。

「だからね、権田さん。私はあなたのその魂の姿を、紙の中に封じてしまうの。そうやって私はあなたを手に入れる…」
それは真実の愛の告白だった。女の閉じられた目から真珠のような優しい涙がこぼれるのが見える。
決して結ばれてはいけない、別の世界の男と女。しかし、愛はそうした禁忌すら、飛び越えてしまう。

権田の頬にも涙が伝った。美しい月の夜、赤き月と青き月に照らされた、深い紫色の夜。
その幻想的な紫の如く、その女は美しかった。力強い権田の腕の中で崩れてしまいそうな朧。
十二単衣の重さの中で、まるで霞であるかのように、その実体は儚かった。

権田はその女、紫式部の細い顎の先に指を添えた。目を閉じたまま紫式部は権田の方を向く。
閉じられた目元は潤み、涙の流れたその跡が、月明かりを浴びて鈍く輝いている。
整った面立ちはあくまでも涼やか。だが、その表情の奥に、どんな男でも敵わないほどの激しい情熱があった。
狂おしいまでの激情が。それはしとやかで知的なこの女の中に眠る修羅だ。

2 :名無し物書き@推敲中?:2010/03/29(月) 03:49:58
もし今ここで彼女が目を開け、真っ直ぐに見つめられたら…それを権田は恐れた。
おそらく己の魂は、彼女の持つ業火で焼き尽くされてしまうのではないか?
静寂の支配する春の月の夜。だが、権田の腕の中にいるこの女の凄味に、権田は畏怖した。

ありとあらゆる闘争を勝ち抜き、今日の地位まで上り詰めた権田俊行。
だが、権田がこれほどまで恐怖したことは今までなかった。それほどこの女の愛を、権田は恐れていた。
全ての理性が、権田を今まで支えてきた意思が全て焼き尽くされてしまいそうだった。

紫式部は無言で権田を待つ。目を閉じたまま。その美しき瓜実顔を向けたまま。

権田は彼女の唇に、己の唇を重ねた。愛に応える、それだけではない。
恐ろしかったのだ。愛に恐れをなした自分に耐えられなかったのだ。
紫式部は権田の接吻を抵抗なく受け止めた。そのまま力なく権田に身を委ねた…。

  ■

「権田伯爵。 お時間です。」
権田の秘書官、鯨岡大輔は権田の寝室の扉越しに、そう声を掛けた。
武本悠一大佐は既に中庭に兵士たちを集めている。

この作戦には、この時代へと率いてきた武本隊三個連隊のうち、その一つを当てる予定だ。
そう、武本悠一もまたマスター・ヴァンパイアである。しかも彼は最強のオリジン。
彼もまた、眷属の群れを率い戦いを挑む地獄の軍団長である。

「ああ、今行く」
扉の向こうから、権田の声がした。どこか気だるい。

鯨岡は全て事情を察している。しかし彼はそれを口にすることは決して無い。
権田とともに夜を過ごしたその美しき女のことも、全てを彼は知り、理解している。
だが、それが外に漏れることは無い。漏らそうとする者があれば、それは鯨岡がただちに「処理」する。

それが鯨岡という男の権田に対する忠誠心だ。

3 :名無し物書き@推敲中?:2010/03/29(月) 03:51:57
山形の貧農の四男として生まれ、間もなく里子に出された鯨岡を見出したのは権田俊行その人だった。
鯨岡の後見人として権田は彼を東京の開明学園高校に入学させ、帝大予備門を経て東京帝国大学法科に進学させた。
その後、鯨岡は外交官として数ヶ国に滞在。無論彼の忠誠は権田ただ一人に捧げられていた。

権田が如何なる人物であるかは、そしてそれが決して表に出せない修羅の道であることは重々承知だ。
しかし鯨岡は、そんなことなど意に介さなかった。全ては権田と、権田の野望と、ヘイドレク委員会のために。
その後、鯨岡は外務省を辞し、権田の個人秘書となった。それが鯨岡という男だった。

権田が部屋から出てきた。さらに勇壮さと凄味を増したその風貌に、鯨岡の身は引き締まる思いがした。
許されぬ恋に落ちてしまった権田の、悲壮なまでの覚悟が、その剛毅な面貌に浮かんでいる。

鯨岡はかかとを打ち鳴らし、権田に敬礼した。権田は無表情のままそれに応え、そのまま廊下を歩き出した。
鯨岡もまた、権田の後ろに続いた。長きその廊下を、二人の足音が高く響く。

  ■

遠ざかる足音を、紫式部は一人残された部屋で耳にした。
命がけで生きている男の、凄まじいまでの性…昨夜はその男の情を我が身に受けたのだ。
彼女は本能でそれを悟った。昨晩のあの情事で、己が孕んでしまったことを。
愛する男の子を己の身の中に宿してしまったことを。

紫式部は微笑んだ。窓から差し込むのの陽射しが、これから母となる女の、慈愛に満ちたその横顔を照らす。
決して結ばれることの無い二人なのだ。権田は遠くない将来、必ずこの時代から去ってしまうのだ。
彼女はそれを知っていた。そう、権田は物語絵の中にいる、そのような人物であると。

彼女は筆を手にした。墨を練ると、それに穂先を浸す。既に物語は出来上がっていた。
まっさらな紙に、紫式部は迷うことなく筆を落とした。その後は、ただひたすら、赴くままに筆を進めていった。

権田俊行伯爵をモデルにした主人公・光源氏の物語…「源氏物語」。

4 :名無し物書き@推敲中?:2010/03/29(月) 03:54:21
伝説の前スレ…ヘイドレクの迷走の物語はこのへんから始まってるんじゃねーの?

ヘイドレクの物語2
http://love6.2ch.net/test/read.cgi/bun/1226399048/

5 :名無し物書き@推敲中?:2010/03/29(月) 18:56:59
「…ねえ、のび太くん。」
茉莉子先生は、ベッドの中でのび太に抱きついた。
いつの間にか鍛錬された、逞しいのび太の体へ、茉莉子先生の手足が絡みつく。

のび太は無言で天井を見上げている。眼鏡で隠されたその表情は見えない。
薄暗い照明の中で、のび太はただ黙っているだけ。

茉莉子先生は、太ももをのび太のペニスにこすり付けた。
巨大なペニスは、先ほど茉莉子を貫いていた時と違い、今は静かに休息のときを迎えている。

その巨大なペニスの感触を、茉莉子は内腿の素肌で感じ取った。
のび太の陰部の剛毛が、茉莉子の滑らかな素肌をチクチクと刺激する。

「ねえ、のび太くん。私たち、もう引き返せないのよ…。」
茉莉子は囁く。

ダンテ伯爵への反抗…昨日の夜の、のび太の活躍はまさしくダンテ伯爵への裏切り行為そのものだ。
のび太も薄々と感じ取っているに違いない。彼女がダンテ伯爵の手の者である、ということを。

のび太の横顔は、相変わらず静かなままであった。
先ほど、茉莉子の肉体を虐めたときの、あの猛々しさは今は無い。
茉莉子の愛撫に身を任せながら、のび太はただ黙っていた…。

6 :名無し物書き@推敲中?:2010/03/29(月) 18:57:49
…昨日の夜、のび太はダンテ伯爵の四天王の一人、フォイエルバッハ将軍を瞬殺してみせた。

少年探偵団を救い、ジャイアンを救い、ドラえもんを救出したのだ。
あと一歩で全滅というところまで追いつめたにも関わらず、のび太一人の活躍でひっくり返ってしまったのだ。

ダンテ伯爵の配下のモンスターたちの中でも、最強クラスであったフォイエルバッハ将軍。
それはいとも簡単に葬り去ってしまうとは。茉莉子は、のび太のその本性に、慄然とした。
目覚めさせてはいけないものを、目覚めさせてしまったのではないか、と。

昨日ののび太の行動は、もはや完全にダンテ伯爵への敵対行為だ。
それは同時に、のび太の中に眠る魔性を覚醒させ、ダンテ伯爵の配下に導く役目を負った茉莉子のミスでもある。

おそらく、ダンテ伯爵は、茉莉子の事を許しはしまい。

少年探偵団の中でも出色の戦闘能力を持つジャイアンなど問題にしないほどの強さ。
ドラえもんの助けなど必要としないどころか、己一人の力で最強クラスの敵を撃滅してのける凄まじさ。

のび太は変わった。

それは茉莉子の想像以上に。もはや茉莉子がコントロールすることなど、絶対に無理。
むしろ茉莉子の方が、のび太に翻弄され、のび太に惹きつけられている。

茉莉子は、のび太の横顔を見た。
相変わらず無言。一体何を考えているのか、茉莉子にすら読めない。

7 :名無し物書き@推敲中?:2010/03/29(月) 18:58:37
(もしかしたら、私は、起こしてはいけないとてつもないものを目覚めさせてしまったのではないか?)

のび太の心の奥に、茉莉子すら見通すことが出来ない漆黒の闇が存在する。
それはかつてダンテ伯爵の中に、茉莉子が見たものと同じだ。

その無限無窮とも言うべき闇の奥には、おそらく普通の人間では想像も付かないような魔性がとぐろを巻いているのだ。
決して開けてはならないパンドラの箱…その奥に希望すらない、圧倒的な虚無が…。

…おそらく、あのドラえもんはのび太の魔性を封印する目的で送られてきたのだろう。
未来の世界からの、現在の世界に対する対抗処置がこれだったのだ。

なら、のび太そのものを誕生させなければよかったのではないか?
なら、のび太をどこかで殺してしまえばよかったのではないか?

のび太を歴史から完全に消去すれば、そもそもこのような魔物が目覚めることなど、無かったはずだ。

だが、それはできなかったのだろう。未来の世界の高度なテクノロジーを持ってしても。
その理由は分からない。ただ、茉莉子は漠然と察している。

のび太と、それに加えダンテ伯爵の中に潜むのは、人類の原罪のようなもの。
それはたといのび太を殺しても、その原罪自体は決して消え去ることはない。

結局、未来の世界の人間たちは、対症療法を選んだのだろう。それがドラえもんなのだ。
ドラえもんという”装置”を送り込んで、のび太の魔性を眠らせておくことが、彼らに出来る限界だったのだ。

8 :名無し物書き@推敲中?:2010/03/29(月) 18:59:29
(私は、触れてはならないものに触れてしまったの…?)
急激に、茉莉子の心が揺れた。

今、茉莉子が唯一頼れるのは、ここにいるのび太だけ。
そう、もう茉莉子はダンテ伯爵の下には戻れなくなってしまった。

昨夜ののび太のあの行動によって。

そののび太は、おそらくダンテ伯爵に匹敵しうる恐るべき人の悪意の存在そのものだ。
決して目覚めさせてはならないもの。

そして茉莉子が、本気で愛してしまった男…。

「…のび太くん、もう一度、抱いてくれる?」
茉莉子はのび太に縋りついた。

自分の心に去来する喩えようもない孤独感から逃れたかった。
のび太の愛撫が欲しい、のび太の荒々しい愛撫で自分を滅茶苦茶にしてほしい。

茉莉子はのび太に跨ると、のび太に激しくキスをした。のび太はそれを黙って受ける。
そのキスは徐々にのび太の分厚い胸へ、見事に腹筋の割れた腹へ、そして巨大なペニスへとたどり着く。

いまだ眠ったままのその巨大なペニスを、茉莉子は口に含む。
唇と舌を使ってのび太を刺激し、のび太の欲情を促す。

茉莉子は夢中でしゃぶった。のび太のペニスを慈しむように頬ずりし、キスをし、舐める。
徐々に硬度を帯び、熱くなってゆくのび太のペニス…そのペニスをフェラしながら茉莉子は涙を流し始めた…。

9 :名無し物書き@推敲中?:2010/03/29(月) 19:00:17
…のび太は茉莉子の全てを見抜いていた。

茉莉子が、おそらくダンテ伯爵の送り込んだ女であることは、殆んど予想が付いていた。
ダンテ伯爵が茉莉子を使ってのび太を篭絡しようとしていたのだろう。
少年探偵団を潰すため、もしくはのび太自身をダークサイドへ引き込むため。

そういった証拠を見たわけではない。そんなものは正直どうでもよいのだ。
茉莉子がどこの女であるかなど、今ののび太にとってはどうでもよいことであった。

確かにのび太は、茉莉子によって覚醒した。本来、自分の中に眠っていた魔獣が目覚めたのだ。
本当の自分を見出した気持ち…それは最高であった。素晴らしいものであった。

…そのことは、今のび太のペニスを咥え込んで喘いでいる茉莉子先生に感謝せねばなるまい。
だから今、感謝と慈しみを持って茉莉子先生の子宮の中で己の巨根を暴れさせてやっているのだ。

だが、もう俺は誰のものでもな。。

俺は俺だけのもの。俺の人生は俺自身が切り開くのだ。

ダンテ伯爵だろうと、少年探偵団だろうと関係ないのだ。
俺の前に立ちはだかるものは、全てが敵だ。全ては俺が利用し、俺が奪い、俺が打ち倒す。
俺はたった一人で戦える。恐怖など微塵も感じない。俺は強い。

のび太はそう思うと、思わずほくそ笑んだ。

10 :名無し物書き@推敲中?:2010/03/29(月) 19:16:22
今、のび太の下で組み敷かれている茉莉子先生が幾度目かの絶頂に達し、激しく痙攣している。
のび太は茉莉子先生の両脚をさらに押し広げ、絶頂感の中であえぐ茉莉子先生のヴァギナをさらに抉り上げる。

茉莉子先生のあえぎは、もはや殆んど悲鳴だった。
華奢な肉体はのび太の筋肉の中でバラバラになりそうだ。

だが茉莉子先生の表情には喜悦が溢れかえっていた。
涙を流す美人教師のその表情は、一人の男を愛する女のそれであった。

徐々に高まってゆく快感を確かめ、それをコントロールしながら射精を促す。
ペニスに走る疼き、亀頭に伝わる快楽の痺れ、前立腺が躍動し、陰嚢に満ちた精液が出口を求める。

のび太は軽く唸った。その声も茉莉子のあえぎの中で掻き消える。
上り詰めてゆく快感の波を感じ取りながら、射精のタイミングを見定める。

遂に射精に達したのび太。
尿道を伝う大量の精液の感触がたまらない。

その精液は、のび太の巨大なペニスから勢いよく迸り出て、茉莉子の膣の中に吐き出された。
茉莉子の膣内は、のび太の精液で溢れかえり、入りきらなかったそれは茉莉子の膣口から滲み出る…。

11 :名無し物書き@推敲中?:2010/03/29(月) 19:17:25
「…ねえ、私にはもう、のび太くんしかいないの。…わかっているでしょ?」
激しい情事の後、まどろんでいたのび太に、茉莉子先生が身を寄せた。
不安げな、まるで少女のように無力な女の、その細い肩がのび太の胸に圧し掛かる。

のび太は仰向けのまま、煙草の煙を天井に向かって吐いた。
心地よい快楽の余韻。セックスの後の一服は、確かに素晴らしい。

「わかってますよ先生。ボクも先生しかいませんから…」
のび太は淡々とそのセリフを吐いた。

茉莉子先生の表情が動いたのが分かる。見ないでもそれが分かった。
その言葉で、茉莉子先生の心が大きく揺さぶられることなど、のび太には計算ずくだった。

のび太は煙草をくわえながら、茉莉子先生の肩に手を添えた。
そのままその手で首筋を、頬を、さらに唇を軽く愛撫する。

栗色の長い髪の毛から、汗の匂いに混じって女のフェロモンの匂いがする。
のび太はその匂いを味わうように、髪の毛の中に鼻先を埋めて息を吸った。

メスの匂いは、やはりたまらない。

12 :名無し物書き@推敲中?:2010/03/29(月) 19:18:15
「…しずかちゃんは?」
唐突に茉莉子先生は呟いた。その抑制の効いた囁き声の中に、確かな嫉妬が混じっているのをのび太は察した。
男子生徒たちの憧れの美人教師が、ションベン臭い女子生徒に対し嫉妬心を燃やしている…。

のび太は思わずクスッと笑った。

「おかしい? のび太くん」
茉莉子先生は再び呟く。のび太が誤魔化している、と思ったのだろうか?
別に構わない。嫉妬と焦燥の中でこそ、女は美しく燃え上がるんだ。

「俺はね、先生。先生と何処までも突っ走るつもりですよ…最後まで」
のび太はそう言い、茉莉子先生の汗ばんだ脇を探り、豊満な乳房を撫でた…。

茉莉子先生の目から涙が流れているのが分かった。
その涙が頬を伝い落ち、のび太の胸に落ちた。

のび太は、天井へと立ち昇る煙草の煙を見つめた。
完全に冷え切った、ひたすら暗いその双眸で…。

13 :名無し物書き@推敲中?:2010/03/29(月) 21:15:21
…人気の無い倉庫の床に、次元大介が倒れていた。

顎鬚を蓄えたそのニヒルな面は、既に完全に打ち砕かれ原型をとどめていない。
引き千切られた右腕が、数メートル先のコンクリートの床に転がっている。

その右手には、全ての弾丸を撃ちつくしたS&W M19コンバットマグナムが握られたまま。
しかも、その人差し指は、トリガーに掛かったまま。
次元大介という男の、死に臨んだその瞬間に見せた最後の男の矜持がそこにあった。

深手を負った石川五ェ門が立ち上がった。普段は寡黙な彼にしては珍しく、感情を剥き出しにしている。

「おのれ…よくも次元を!」
五ェ門は刃毀れした斬鉄剣を握りなおした。

構えは正眼。捨て身の覚悟でのび太を打ち倒す悲壮な覚悟がそこに見える。

…のび太は、倉庫のど真ん中に立っている。

峰不二子を抱き寄せ、その長い髪を撫でた。不二子は俯きながら、それでものび太の胸に身を寄せる。
のび太は不二子の顎の先に指を添え、顔を向けさせる。そのまま五ェ門の方を見ながら不二子と唇を重ねた。

そののび太の目は、明らかに笑っていた。ルパンが見たら、これをどう思うだろうか?

いや、五ェ門という男もまた、この峰不二子に少なからず魅かれていたいたのだ。
それは決して語られることのない密かな思い。だが、のび太はそれを完全に見抜いている。

丸眼鏡の奥の、嘲笑の色が浮かぶその瞳は、そう物語っていた。

14 :名無し物書き@推敲中?:2010/03/29(月) 21:16:46
のび太に抱きしめられた不二子は、のび太のキスに酔いしれている。
あの勝気で奔放な女が、まるで初恋に身を焦がす乙女のようにのび太に従順に身を委ねている。
表情はどこか悲しげな色があった。だがそれも、これから死に行くルパン一党たちへの餞なのだろう。

次元を背後から撃ったのは、この不二子なのだ。迷い無く、一切の躊躇なく、次元に向けて引き金を引いたのだ。
今までの裏切りとはわけが違う。既に不二子はルパン一党を完全に切り捨てていた。

(ルパン…ここに来るな! これはのび太の罠だ)
石川五ェ門の心は叫ぶ。

ルパンは今頃、この倉庫に向かって金塊を満載したトラックを走らせているはずだ。
そしてここにたどり着けば、間違いなくルパンは死ぬ。

この眼鏡の青年、野比のび太という男ならそれは可能だ。
しかも、たった一人で。小賢しいトラップなど無く、真正面から己の力のみで。

ここでのび太を斃さねばならない。この裏切り者、峰不二子ともども。

「…なんだ貴様、妬いているのか?」
のび太は五ェ門に言い放った。その表情はにやついている。五ェ門の焦燥を完全に見抜いている。
のび太はここでルパン一党を全滅させ、その全てを奪い去るつもりなのだ。

この倉庫の地下の秘密保管庫にある、ルパン一党が長年に渡って盗んできた宝物全てを。

それを探り、のび太に漏らしたのは不二子だ。
のび太の腕の中で、うっとりと酔いしれた顔の不二子…信じられない、あの女が一人の男に蕩けている。

15 :名無し物書き@推敲中?:2010/03/29(月) 21:17:46
のび太の手が不二子の腰をさするたびに、不二子の表情は歪む。
その優しげな愛撫に、この希代の悪女が完全に篭絡されていた。

五ェ門の中の殺意が一気に集約し、凝固した。

裏切りへの憤り、死した次元への恨み、女への嫉妬、ルパンのため…そんな理由はどうでもよかった。
これは己の戦いだ。己の全てをかけて、こののび太という凄まじい悪党を斬鉄剣の錆びとせねばならない。

その斬鉄剣の切っ先が、港の灯台の照明で一瞬ぎらついた。

距離は遠い。のび太も、不二子もまた銃を持っている。不二子の銃の腕はともかく、こののび太はわからない。
おそらくは次元に匹敵する、もしかしたら上回る腕の持ち主であるかもしれない。

のび太は溜め息を付いた。やれやれ、という村上春樹風の溜め息をつき、苦笑いしてみせた。
こんな下らない勝負に付き合ってやるなんて、俺も大した暇人だな、という、そんな感じに。

のび太は不二子の腰に廻した手を外すと、数歩脇に置いてあるバッグを開いた。

今が絶好のチャンスであった。この瞬間に五ェ門は一気に踏み込み、のび太を切り払えばよかったのだ。
だがそうしなかった。あくまでのび太とは、きっちりと決着をつけねばなるまい、そう五ェ門は思ってしまった。

おそらくそれすら、のび太は読んでいたのだろう。
まるで無防備に背中をさらしてしゃがみ、バッグの中をゴソゴソと探る。

16 :名無し物書き@推敲中?:2010/03/29(月) 21:18:35
のび太が取り出したのは、一本の日本刀であった。

…鬼丸国綱。

かつて皇居宮内庁御物倉庫に厳重保管されていたそれを、ルパン一党が散々の苦労の末に盗み出したものだ。
皇宮警察部隊との激しい戦闘を繰り広げ、数多くの死線をくぐり抜けて盗み出せたお宝中のお宝。
それが今、のび太の手に握られている。おそらく不二子が渡したものだろう。

五ェ門の中で、何かが弾けた。

「…不二子ォーッ!」

憤りは、もはや抑えきれずに叫びとなった。その叫びは、空虚な倉庫に響き渡りこだまする。
今までの五ェ門が発した事のない、心の奥底からの叫びだった。

不二子はビクッ! と体を震わせた。五ェ門の視線を避けるように、顔を横に向ける。
五ェ門は尚も睨み続けた。炎が吹き出しているような、凄まじい目で。

「何だ、女の嫉妬で狂ったのか? このムッツリスケベ」
のび太の声は笑っていた。明らかに五ェ門を挑発している。
ルパンの到着までの時間はまだある。その時間つぶしに五ェ門で遊んでいるのだ。

「女を怒鳴りつけても、しょうがないだろう?」
のび太は笑いながら鬼丸国綱を抜き払った。

見事に鍛え上げられた剛剣。
ヌラリと青光りするその刀身は、魔剣と語られるに相応しい威容だ。

のび太はそれを気だるそうに構えた。
剣術も居合いもまるで知らぬのだろう、その構えは適当で、その場で思いついたかのよう。

17 :名無し物書き@推敲中?:2010/03/29(月) 21:19:43
のび太の笑顔…石川五ェ門など、虫けら同然と見なしている笑い。
だが同時に五ェ門は見てしまった。そののび太の笑顔の中にある、眼鏡の奥の瞳を。

そこに広がる無限の暗黒を。
漆黒の闇しか存在しない、果てしない虚無を…。

気づいたときには、既に五ェ門は踏み出していた。

チェスト! と大音声の叫びが、倉庫の中に響き渡った。
膂力に全てを込め、のび太を鬼丸国綱ごと真っ二つに切り裂く、その気合いだ。
数メートルもの距離が、瞬きする間も無く詰められ、斬鉄剣の刀身がギラリと光り…。

次の瞬間、石川五ェ門の胴体は上半身と下半身に分断されていた。

上半身は勢い余って宙を舞い、のび太の後方数メートルの場所にドサリと落ちる。
腰より下は、その場で一瞬動きを止め、その後力なく崩れる。

石川五ェ門が生涯最後に見た映像は、こちらを振り返ったのび太の目であった。
全く温度が無い、冷たく冷え切った目。

薄れゆく意識の中で、その瞳の冷たさが、石川五ェ門を震わせた。

「…寒い。」

それがルパン一党の剣客、石川五ェ門の生涯最後の言葉だった…。

18 :名無し物書き@推敲中?:2010/03/30(火) 00:42:51
「…ウソだろ。 なあ、ウソだと言ってくれよ、不二子ちゃん!」
銃弾が打ち込まれた胸と腹から、血が溢れ出てドクドクと流れ去ってゆく。

ホローポイント弾であったのだろう、銃弾はルパンの体内で砕け、破片が内臓をズタズタに引き裂いていた。
おそらく腹腔はそれ以上の内出血が起こり、その血で満ちていることだろう。

信じられない、という面持ちでルパンは不二子の方を見上げた。

ルパンに向けて、銃を構える不二子。
その背後には、眼鏡をかけた一人の青年が、薄ら笑いを浮かべてこちらを見ている。

「がふっ!」
ルパンは跪き、口から大量の血を吐いた。意識が徐々に遠退いてゆくのが分かる。
視界は既に朦朧とし、倉庫の天井から照りつける光の中で、あのグラマーな不二子の姿が揺らぐ。

不二子は泣いているように見えた。そうであって欲しかった。
だが、ルパンにピタリと銃口を向ける不二子の口元は、笑っているように見えた。

真っ赤なルージュが塗られた、ふくよかでセクシーな唇。
その唇の端が、頬に向かって吊りあがっていた。

「悪いわね、ルパン。 これが真実なの…」
ルパンに向かって不二子はそう言い、言い終わると同時に引き金を引いた。

正確に放たれたその銃弾はルパンの眉間を貫き、脳をグチャグチャに砕いて後頭部を抜けた。

見開かれたルパンの目が、それでもなお不二子を信じようとこちらを見つめていた。目の端に涙が溢れている。
その涙が目からこぼれ出た瞬間、ルパンの上体は崩れ、コンクリートの床の上にドサリと倒れた…。

希代の怪盗・ルパン三世はこうして死に、伝説となった…。

19 :名無し物書き@推敲中?:2010/03/30(火) 00:43:44
…終わった。これで全てが終わったのだ。

ルパン一党の女怪盗として、日のあたらない道を歩み続けた日々がこれで終わったのだ。
目の前に転がるこのルパンなる男の情婦としての、屈辱と悔恨の日々が。

これで私は自由だ。過去のしがらみは全て断ち切ったのだ。己自身の手で。
そう、これからは、愛するのび太との人生が始まる。

不二子は銃を下ろした。それと同時に目から涙が溢れ出た。それはルパンの死への悲しみではなかった。
全てを終わらせ、忌まわしい過去を終わらせた女の達成感。愛するのび太のために尽くせた、女の喜びがそこにあった。

不二子の背後から、パチパチパチ、と拍手の音がした。
その音に我に返った不二子は、涙を拭うのを忘れ、笑顔で振り返る。

そこに、のび太が居た。

彼はこちらを笑顔で見つめていた。初めて出会ったあのときと同じ、突き抜けるような笑顔で。
その笑顔のまま、のび太は不二子の方へ歩み寄ってくる。

「よくやった不二子。これで君は自由だよ」
のび太は笑顔でそう言う。

この私の過去を全て知り、その上でこの私を受け入れてくれた男。
この堕落し、汚れきった私に、全く新しい人生と新しい愛を与えてくれた、最高の男。

不二子はのび太に駆け寄った。そのままのび太の胸に飛び込んだ。
のび太はその不二子の体を強く抱きしめた。力強い抱擁だった。

「ありがとう、愛してるわのび太さん!」
不二子は泣きじゃくりながら何度もそう叫んだ…。

20 :名無し物書き@推敲中?:2010/03/30(火) 00:44:36
…ドンッ! という一発の銃声がした。

鈍い銃声であった。それと同時に不二子の腹に衝撃が走る。
周囲の空気が一瞬、全て停止したかに思えた。

その刹那、再びドンッ! という鈍い銃声が響く。
同時に不二子の背中が裂け、そこから血飛沫が飛び、床に散った。

事態を悟るのに、不二子は時間が掛かった。
それでも自分が撃たれたのだ、という現実を受け入れるのを、どこかで躊躇している。

少し遅れて激痛が不二子を襲った。おそらく脊椎が銃弾で砕かれたのだろう、下半身に感覚がない。
慌ててのび太に縋りつく不二子だが、のび太はもう抱きとめてくれなかった。

そのまま腕でのび太の肩にすがり付こうとする。だが、のび太はそれでももう、抱きしめてくれなかった。
のび太にもたれかかるようにして、不二子は崩れた。そのままのび太の足元に倒れる。

何で、一体どうして?

不二子は床を濡らす己の血を見た。自分の腹に大きな銃創が開き、そこから大量の血がなおも流れ出てくる。
その大量の血を見て、不二子はようやく我に返った。

私は撃たれたのだ。

いまここで――のび太に。

21 :名無し物書き@推敲中?:2010/03/30(火) 00:45:29
震えながら不二子はのび太の顔を見上げた。

のび太の、その端正で逞しい眼鏡の顔は、こちらを向いていなかった。
全く表情の無いその顔…目の前で自分を愛してくれた女が死ぬというのに、その顔には感情一つ浮かんでいなかった。

眼鏡は照明が反射しており、その奥の瞳はうかがえない。
だが、いまや不二子は、その瞳がどのような色をしているか、分かった。

おそらくは漆黒。初めて出会ったときに見た、危険な男の持つあの虚無の闇。
女を狂わせ、女を破滅させる危険な輝き。それでも女はこの瞳を持つ男を愛さずにはいられない。

「…どうして?」
その声は震えていた。

尚も血が流れ続けている。それはあたかも生命がこの体から抜け出ていくような、そんな感じだった。
あれほど執着した己の生命や若さ、美貌が、今は脆くも崩れ去ろうとしている。

死にたくない。生きてのび太と一緒に人生を過ごしたい。
この後に及んで、不二子は本気でそう思っていた。

「…私、あなたの事、本気で愛しているのよ。」
不二子は力を振り絞ってそう言った。言ったと同時に口から血が溢れ出た。
それでもなお、自分がのび太を愛していることに驚きを感じながら。

22 :名無し物書き@推敲中?:2010/03/30(火) 00:46:51
すると、のび太が不二子の方を見た。
そこには微笑みが浮かんでいた。少し悲しそうな、だがどこか取り繕ったような、そんな笑顔だった。

そしてのび太は言った。

「ボクも愛してますよ、不二子さん。」

消えゆく意識の中で、不二子はその言葉を喜びとともに受け取った。
それがウソであることなど分かっている。だが、のび太のその言葉を聞いた瞬間、己の膣が潤むのを感じた。

それが峰不二子の生涯最後の記憶となった。

裏切られてもなお愛するものを信じきったルパン三世。
それと同じく不二子もまた、のび太への愛に縋りついたまま死んでいった。

だが、不二子がそのことに気づくことは無かった。
のび太を想ったまま、遂にルパンの事など思い出すことなどなく不二子は絶命した…。

23 :名無し物書き@推敲中?:2010/03/31(水) 00:02:03
さてそのころ、平安時代のヘイドレクは・・・

24 :名無し物書き@推敲中?:2010/04/01(木) 19:15:54
ヘイドレクは平安京エイリアンに追われて肥溜めに落ちて気絶していた。

25 :名無し物書き@推敲中?:2010/04/02(金) 01:03:28
「…そういうことだよ、のび太くん。」
出来杉はそう言うと、カップを手に取りコーヒーを一口飲んだ。
嫌な予感はしていた。それはわかっていた。

別に出来杉は弱みを握ったわけじゃない。たとえそれが発覚したところで、のび太は別に傷つかない。
だが、茉莉子先生はこれで失職してしまう。今はそれを避けたい、とのび太は思っている。

理由? 色々あるさ。茉莉子先生を守るというのも理由の一つだ。
だが今は余計な波風を立てたくない、というのが本音に一番近いかもしれない。

のび太は再びテーブルの上の写真を見た。
それは学校の美術準備室の中で、のび太と茉莉子先生が戯れている写真だ。
おそらくロッカーや、イーゼルなどの用具に小型カメラを設置し、隠し撮りしたもの。

のび太が逞しく茉莉子先生を責め立て、茉莉子先生が快楽に酔いしれている。
のび太の巨大なペニスを口に含み、一心不乱に舐めている茉莉子先生のアップ。

のび太くんのって、物凄い大きいんだね、と出来杉は軽く笑ってみせた。
一瞬、のび太は出来杉に殺意を覚えた。この場で処理しちまおうか、と。

だが、この隠し撮りされた画像は(出来杉によれば動画テープもあるという。楽しませてもらったよと言っていた)、
おそらくこれだけではあるまい。ネガもこの場に持ってきているとは思えない…。

「…金か? それともお前も茉莉子先生にしゃぶってもらいたいのか?」
のび太は言った。なぜか軽く微笑んでいた。不思議なことに好奇心がのび太に芽生えていた。

出来杉という青年の、前から持っていたこの怪しさや胡散臭さの方が、今は圧倒的に興味があったのだ。

26 :名無し物書き@推敲中?:2010/04/02(金) 01:04:37
非の打ち所の無い優等生…勉学優秀、スポーツ万能、品行方正。
まるで作られたかのようなこの出来杉という男の本心は、その優等生ぶりが完璧であればあるほど、胡散臭かった。

そういったキャラクターを作り上げてみせた仮面の下に潜む本性。
今、目の前の出来杉は、決して他人には見せないその表情をあえて覗わせている。

どのような企みがあるのかは、まだ分からないが…。

「勘違いしてもらっては困るな、のび太くん。確かにこうした隠し撮りは品が無いけど…」
出来杉は笑った。おかしそうに。

おそらくかなり早い段階から自分と茉莉子先生の関係を察し、調査を行っていたのだろう。
この美術準備室での茉莉子先生との密会は、夏休み中の夏季特別授業の期間のことだ。
一学期の、もしかしたらスネ夫にのび太が謝罪したことには、漠然と察していた可能性はある。

「別に君を脅迫したりする積もりはないんだ。ただ、君のことをよく知っているということを理解して欲しかったんだよ。」
出来杉はそう言う。普段どおりの、教室で見せているような優等生的な態度で。
今ののび太の前で、ここまで表情や態度を計算してのける出来杉に、のび太は少し感激した。

こいつ、大したタマだ。

学園内の部室棟6階、少年探偵団事務局の隣にある特別会議室。
許可が無い限り、幹部以外は立ち入りが禁止されている部屋だ。

今は出来杉とのび太の二人きり。

隣の本部には、団長の山下や幹部のジャイアン、スネ夫、しずかちゃんなど、主要幹部たちが集っている。
彼らはここで交わされている自分達二人の会話を知っているのだろうか?

27 :名無し物書き@推敲中?:2010/04/02(金) 01:05:38
「何が狙いだ…?」
のび太は尋ねた。

ただ何となくだが、その狙いが読めるような気がした。
出来杉が胡散臭ければ胡散臭いほど、狙いが見えてくる。

が、出来杉は意外なことを言った。

「ボクはね、のび太くん。ダンテ伯爵の息子なんだよ。」
一瞬、のび太は唖然とした。目の前の端正な顔をした優等生の言った言葉が、理解できなかった。
ダンテ伯爵の息子? こいつは何を言ってるんだ?

のび太を見つめながら出来杉はニコリと笑った。
一見、屈託の無い笑顔に見える。クラスの女子たちに出来杉は人気高い。
品行方正な優等生が、こうも優しげに微笑めば年頃の娘たちのヴァギナは疼く。

だがその笑顔の意味は今は違う。
今の出来杉の言葉は少年探偵団の本部のど真ん中で聞くべきものではない。

しかものび太は、今の出来杉の言葉を真実であろう、と直感した。
根拠は特に無い。ただ、そうであっても不思議ではないな、という程度だ。

出来杉の目はこちらを伺っている。まるでのび太の反応を観察するかのように。

のび太は表情を崩さなかった。眼鏡の奥の目は、真っ直ぐ出来杉に向けたまま。
己の視線を維持するのに、大変な労力が必要であった。
出来杉のその澄んだ目は、まるで医師が患者の患部を観察しているかのように、揺るがない。

「…信じてくれたみたいだね。」
出来杉は言う。出来杉はそういうとコーヒーカップを手に取り、再びコーヒーを一口飲む。
もう冷めているだろうにな、とのび太はつまらないことを思った。

28 :名無し物書き@推敲中?:2010/04/02(金) 01:06:39
「煙草を吸っていいかな?」
のび太は言った。別に理由は無いが、煙草の煙が無性に欲しかった。
許可の言葉を待たずにのび太は胸ポケットからハイライトとジッポを取り出しに掛かる。

「ここに灰皿はないよ、のび太くん」
不許可、そう言いたいのだろうが、構わずのび太はハイライトに火をつけた。
さらに出来杉のコーヒーカップを引き寄せると、出来杉を睨みつけながら中に灰を落とす。

出来杉はちょっと驚いてみせた。
だが素早く「やれやれ」という村上春樹風の溜め息を付いて苦笑いする。決して怒りを露わにしない。
今ののび太の無礼をさりげなく流し、ごく自然にこちらに目を向けた。
その表情の作り方の見事さ、タイミングの良さにのび太は呆れた。

「ただ、みんなには黙っていてほしい。」
出来杉は言った。のび太は煙草を口にくわえたまま、軽く頷いてみせる。
暫く無言のまま、互いに相手の目を見つめあう。

「今はダンテ伯爵とは接点は無いんだ。というより、ダンテ伯爵はボクを息子だと気づいていないと思う。」
沈黙を破ったのは出来杉だった。

ダンテ伯爵が屋敷のメイドに手を出して、その結果生まれたのが出来杉らしい。
メイドである母はダンテ伯爵の玩具として玩ばれ、その後発狂して出奔。
たどりついた教会で出来杉を出産したのち、母は死んだという。

29 :名無し物書き@推敲中?:2010/04/02(金) 01:07:32
「だからボクには、魔人の血が半分混じっているんだ。」
そう言うと、出来杉はクスクスと笑った。
だが半分は人間の血だから、魔力は全然無いけれど、と言いながら。

出来杉は暫くの間、その教会で育てられ、その後、里子に出されたという。
幸いにもその里親、即ち現在の出来杉の両親はちゃんとした人たちだった。

大学教授の父親と、音大出でピアノ教師を務める母親。
その両親の下で、出来杉は高いレベルの教育と教養を受けることができた。
生まれつきの聡明さも相まって、彼はすくすくと成長する。

そうやって今の出来杉は出来上がったきたのだ。
非の打ち所の無い完璧な優等生に。

「君も同じだろ? のび太くん。」
何のことだ? とのび太は訝る。

出来杉はのび太を見つめ、微笑んだ。
気味が悪い、とのび太は思った。

他の人間が見れば、この笑顔は爽やかなものに見えるだろう。
だが、そう見えれば見えるほど、今目の前の出来杉の笑顔は不気味だった。

30 :名無し物書き@推敲中?:2010/04/02(金) 01:37:46
「君だって、魔族の血を受け継いでいるじゃないか、のび太くん」
言葉を失うのび太。もちろん思い当たる節など幾らでもあった。
自分の持つ過剰なまでの闘争本能、野蛮で獰猛なその性…それはどこか人間離れしている。

おそらく元々はダンテ伯爵の配下にいたであろう茉莉子先生が、何故自分の前に現れたのか。
ダンテ伯爵は見抜いていたのだ、のび太という青年の中に眠る魔族の血を。

ドラえもんによって抑えられていた、この恐るべき魔性を。

「だから、のび太くんとボクは同じ仲間なんだよ」
そう言うと出来杉は、テーブルの上においてあったのび太のハイライトとジッポを素早く手に取る。
咄嗟のことに反応できなかったのび太の前で、出来杉は煙草をくわえ、火をつけた。

もっとも、と出来杉は続けた。

出来杉と同じく、のび太に普通の人間以上の超能力や身体能力があるわけではないそうだ。
純粋な魔族でなければ、特殊能力は持ち得ないし、魔法も使えない、不便だよね、と出来杉は言う。

「だからねのび太くん。この間のフォイエルバッハ将軍を倒した君のあの力も、人間の能力だけだったんだ」
凄いと思う、と出来杉は褒める。あの恐るべき魔人に人間の能力だけで立ち向かい、瞬殺してしまうんだもの…。

31 :名無し物書き@推敲中?:2010/04/02(金) 01:38:43
…コンコンッ! と扉がノックされた。

「誰だい?」
出来杉は煙草をコーヒーカップ(先ほどのび太が灰皿にしたもの)に放り込み、立ち上がった。

途中、窓ガラスを開け、風を入れる。煙草の煙の匂いを消すためだろう。
こういう細かいところにもソツがない、やはりこの男は徹底的に己の本性を隠し通しているのだ。

出来杉はドアの鍵を開け、扉を開いた。

そこにはしずかちゃんがいた。
心配そうに、部屋を覗いている。

「どうしたんだい、しずかちゃん?」
出来杉は言う。あのいつもの、完璧なまでの優等生然とした物腰で。

「…あの、随分長いこと二人で話しているから。」
「心配になった?」
出来杉はさりげなく言葉を被せ、室内に向けられたしずかちゃんの視線を遮るように動いた。
そのタイミングでのび太は、茉莉子先生との情事の写真を封筒に素早く戻した。

しずかちゃんは可愛らしくこくり、と頷く。

「大丈夫だよ、男同士の話でいろいろと話し込んでいたんだ。もうすぐ終わるから」
出来杉は微笑んでみせる。まるで心配ないよ、というように。
そのままのび太の方に目線を移す。のび太も空気を察し、しずかちゃんに微笑んでみせた。

しずかちゃんは安心したように笑顔を見せた。どこかぎこちなかったが。
しずかちゃんはさらにコーヒーのお代わりはいる? と尋ね、出来杉はそれを丁重に断る。

もう少しで終わるから、と言い、扉を閉めた。同時に鍵を掛ける。抜かりなく…。

32 :名無し物書き@推敲中?:2010/04/02(金) 02:09:58
「…全く、面倒な女だな。」
一瞬で出来杉は口調が変わった。もちろん見た感じではまったくわからないだろうが。
溜め息をつきながらテーブルに戻ると、ハイライトを掴み、のび太に確認を取るように目線を向けた。

のび太は面倒くさそうに頷くと、出来杉は一本取り出し、それに火をつける。
窓から流れ込む秋風が、その煙をたなびかせた。

「俺の正体は…というより、俺は魔界のどこの出身なんだ?」
のび太は尋ねた。それに対し出来杉は、さあ、と肩をすくめて見せる。こいつ、舐めてんのか?

「いや、本当なんだ。ボクも君が魔族の血に目覚めるまで、君が魔族だなんて気づかなかったくらいだから」
何処まで本当かは知らない。とはいえ今、出来杉がこんな些細なことでウソをつく理由は無い。

安心して、君の両親は普通の人間だよ、と出来杉は言う。

君は君のお父さんの精子とお母さんの卵子を下に、お母さんの子宮から生まれているはずだ。
だから、君の肉体は完全なまでに人間なんだ、と。

「だけど人間の中に魔族の魂が宿ることがある。人間同士の婚姻と生殖の中でも」
出来杉は言った。それはほんの稀だけど。

人間が神に反し原罪を犯して以来、人間に刻まれた魔の刻印。
エデンを追放された人間には、彼らを堕落させたサタンの血が刻まれているんだよ、DNAレベルに。

普通はそれが顕在化しないんだけど、稀にそういう人間も出てくるんだ。
だけど肉体はあくまで人間の肉、知恵の実を食し、生命の実を食べることができなかった人間の肉体なんだ。
だから我々の力はあくまで人間のそれ。違うのは発動したぼくたちの魂なんだ。

それがボクたちの強みなんだよ。

33 :名無し物書き@推敲中?:2010/04/02(金) 02:11:06
「それでも…」
出来杉は続ける。

それでも人間の血の中には、脈々と原罪の血が受け継がれてる。
人類の歴史は時折、それを一人の人間の中に具現化するんだ。

遺伝的な条件が揃った人間に、魔族の魂が発動するんだよ。
そういう人間がこの人類社会を混乱に導き、堕落させ、互いに争わせ、多くの人間の命を供犠として捧げる…。

「…それが我々人類の試練なんだよ。神から追放された我々人間に課された罰。」
出来杉の澄んだ目が、こちらを見つめる。
その澄み切った目の意味を、のび太は悟った。

そこにある色は理知ではない。知性でもない。
女子生徒たちがヴァギナを湿らせる男の優しさなどではない。

そこにあるのは、紛れもない狂信だった…。

「ダンテ伯爵も、その配下の魔人たちも、全部人間なんだよのび太くん。我々と同じくね。」
出来杉は笑った。彼らもまた、人類の血に脈々と受け継がれる原罪を具現化した、人類への罰の姿だ、と。

出来杉の顔に浮かんだ表情は、躁的な狂気のそれであった。
その喩えようもなく澄んだ目は、迷いも戸惑いもない、純粋な狂信者のそれであった…。

34 :名無し物書き@推敲中?:2010/04/02(金) 02:12:45
「…で、用件は何だ? 出来杉。」
のび太は尋ねた。己の正体など、薄々は察していた。

おそらく腐敗して混沌に陥った人類の未来が、過去を変えるべく送り込んだのがドラえもんであることも。
ダンテ伯爵すら恐れるのび太自身の悪意を眠らせ、決して目覚めさせないために。

「俺と茉莉子先生のセックス写真を楽しむために呼んだわけでもあるまい。用件を早く言えよ。」
澄み切った出来杉の双眸を真っ直ぐ見返す。

そののび太の目は、暗黒であった。
無限に広かる虚無の色が、丸眼鏡を通して出来杉に注がれる。

悪意の質が違うだけで、のび太と出来杉は同じサイドの人間なのだ。
ならば、出来杉の用件は決まっている。

「ボクと協力してほしいんだよのび太くん。ボクと一緒に全てを握ろう。」
出来杉は言う。そこに先ほどまでの柔和な微笑みは全くなかった。
のび太の返事を確信しているかのように、真摯な表情は微動だにしない。

「…全てとは何だ?」
のび太は尋ねる。おそらくのび太にもとっくに分かりきっているその答えを。

出来杉は答えなかった。答えるまでも無かった。
のび太が全てを悟っているなら、もうこれで話は終わり。

当たり前だが、のび太の方でも一切、異論はない…。

35 :名無し物書き@推敲中?:2010/04/02(金) 02:13:40
出来杉は無言で鞄を取り出した。黒い皮製のショルダーバッグ。
教科書やノートを掻き分けて、彼は大きな封筒をテーブルの上に放り投げた。

のび太は無言でそれを拾い上げた。中身は分かっていた。
のび太と、茉莉子先生の密会を記録した写真のネガと動画のマスターテープ。

「のび太くん。君は明日から少年探偵団の幹部に昇進だよ。」
出来杉は言った。封筒の中身を確認しながら、のび太は出来杉の方を見る。

「フォイエルバッハ将軍との戦いで、あれだけ君は活躍したからね。山下くんも異論はなかった。ジャイアンもね。」
出来杉はそう言うと、再び笑顔を見せた。

のび太も、出来杉に微笑み返した。
窓から見える秋の夕日が、眩い…。

36 :名無し物書き@推敲中?:2010/04/08(木) 21:14:09
糞部落在日関泰樹

37 :名無し物書き@推敲中?:2010/04/18(日) 16:05:04
いっぽうその頃ヘイドレクは

38 :名無し物書き@推敲中?:2010/04/20(火) 00:19:00
…ヘイドレクはそのころ、ちんちんの先端に出来た謎のブツブツに悩んでいた。

「なんだろう、この不思議なおできは? なんかグロテスクでブツブツの先っちょから膿が出てるし…」
なんか規制が長引いてヘイドレクサーガも停滞気味。おまけにのび太に主役を奪われる始末。
フィクショナルな世界でもダメダメなヘイドレクさんは、己の小さなちんちんを弄りながらとっても不機嫌。

場所は平安京の朱雀大路と五条通りの交差点のあたり。
今出川公爵邸と金剛寺門前の賑わいの真っ只中。

多くの人たちが行き交い、雑踏のど真ん中でヘイドレクはちんちんを弄りながら悩んでいる。
数分に一個くらいの割合でブツブツは増えてゆき、いまや亀頭全体(包皮に包まれてるけど)は完全にブッツブツ、
もう竿のあたりにまで気持ち悪いブツブツがブツブツと出来てくる。

道行く人たちが、まるで汚物を見るかのような目でヘイドレクを見下ろし過ぎ去ってゆく。
もう完全にわいせつ物陳列罪ばっちし。
ちんちんのブツブツだけでなく、華麗なる前科を積み重ねる危機にヘイドレクは直面していた。

39 :名無し物書き@推敲中?:2010/04/25(日) 02:44:30
そうだ・・・

ヘイドレクは平成から平安に、未知の疫病を運び込んでしまったのだ!

40 :名無し物書き@推敲中?:2010/05/16(日) 20:36:57
チンチンのイボイボをボリボリと掻き毟りながら、ヘイドレクは朱雀大路をフラフラと歩いていた。
もちろん大泣きで、鼻水やヨダレを垂れ流したままだ。

そんなヘイドレクの姿を見た老婆は十字を切りながら塩を撒き、
通行人たちは悲鳴を上げながら石礫を投げつけ、
商人たちはこんな気持ち悪い男がのそのそと店に入ってきてはたまらんとシャッターを下ろし、
托鉢中のマッチョなホモ坊主たちは兵児帯を解きヘイドレクよりも巨大なペニスを誇示してみせた。

でもヘイドレクの目には、その町の混乱は映らない。
涙腺から濁った涙が溢れ出し、ヘイドレクの視界はぼやけ切っていたのだ。

時々尿を垂れながら、ヘイドレクは道を進む。

イボだらけのペニスは腐敗臭を漂わせ、元々インキンと恥垢で臭かった匂いと混じりあい、凄まじい。
だらしなく出張った腹にまでイボイボが広がり、その姿はもはや人外の物の怪の如きだ。

夕日が差し込む大路をヘイドレクは進む。

ヘイドレクよ、君の行く先に一体何があるというのだ!
運命の子ヘイドレク! 君の人生に幸あれ!!

41 :名無し物書き@推敲中?:2010/05/17(月) 20:47:14
さて、ヘイドレクが森の中をとことこと歩いていると、目の前にナメクジ状の巨大なモンスターが現れた。
大きさはダンプカーほどもあり、周囲の杉の木をなぎ倒しながらヘイドレクの目の前に立ちはだかった。

ちんちんのかゆみに耐えかねて狂ったように股間を掻き毟っていたヘイドレクはちょっとびっくりした。
イボだらけのちんこの先から少量の尿が迸り、ヘイドレクの汚らしいブリーフを湿らせた。

そんなヘイドレクの様子をさもおかしそうに見つめる巨大ナメクジ。
飛び出した目と角がまるでヘイドレクを嘲笑うかのように揺れた。

こんな下等動物に馬鹿にされるほどまでボクは落ちぶれたのか、とヘイドレクは溜め息を付いた。

   は? 何だってヘイドレク? お前…自分のことを万物の霊長だって本気で思ってるの?
   プッ! 笑っちゃうね! お前さあ…っていうか、呆れて言うべき言葉が見つかんないよ!!

と、まあそんな感じでヘイドレクが巨大ナメクジの前でちんちんをボリボリと掻き毟っているわけだ。(どんな感じだ?)

すると巨大ナメクジはヘイドレクに言った。
「やあ、ヘイドレク君。君のちんちんのお悩みを解決する手段を教えてあげようか?」

「何? ボクのちんちんのお悩みを解決してくれるのかい?」
ヘイドレクはその言葉に敏感に反応した。

   そう、さび付いてイボだらけのボクの魔剣エクスカリバーは最近勃起すらしない。
   おそらくこのイボイボの病気のせいだろう。

   数多くの美女たちを喜ばせた(ということになっている)この股間のジャベリン。
   これから多くの美女たちを昇天させる(予定らしい)この股間のサムライソード。

   今はイボだらけで情けなくぶら下がっているだけの、ただの泌尿器でしかないこれを、鍛えなおしてくれるだって?

42 :名無し物書き@推敲中?:2010/05/17(月) 20:48:05
「おおうっ! それはとても有難いです!」
ヘイドレクは巨大ナメクジに礼を言い、同時に双眸から涙を垂れ流した。

巨大ナメクジはそんなヘイドレクを見下ろし、顔を顰めた。
正確に言えばナメクジの顔と言うか、その飛び出た目玉と角を顰めさせたのだが、この際どうでもいい。

「それで、どうやったらボクのおちんちんは昔のような女殺しのレーヴァテインに戻れるんですか?」
ヘイドレクは目をギラギラさせながら巨大ナメクジに尋ねた。

   そう、このおちんちんが治ったら、再びヘイドレク英雄伝説・第25章の始まりだ!
   魔物と戦い、魔王を斃して世界に平和を齎し、麗しの美女たちと戯れ、人々に永久に語り継がれる英雄となるのだ!

   ちなみに第1章から第24章までは絶版だぜ。
   何せヘイドレクの邪魔ばかしする下劣な奴らがヘイドレクの活躍を正確に写実…じゃなくて捏造しやがったからな!

   こんどこそ、かっこよくて勇ましくて逞しいイケメン色男になるんだ!
   そんで女にモテモテでロリ系美乳から美人お姉さん痴女までヒイヒイ言わせるのだ!

だが、一向に股間は反応しなかった。そんな邪までピンク色の妄想を抱いても、全く充血しない海綿体。
ヘイドレクはとてもとても悲しかった。

   かつてロリ系投稿誌のグラビアを見た瞬間、通電したかのように瞬時に勃起した小ぶりなペニス。
   だが、今はイボだらけでしぼんだまま、沈黙を保ったままだ。

   性欲はある。かつてガチホモマッチョに肛門開発されたのに、ロリ美少女好きは変わらなかったくらいだ。
   今もなお、道行く二次元美少女にとうてい叶わぬ片想いを抱くこともしばしば。

   だがもはや彼の妖刀村雨は往年の切れ味(女を切ったことは一度もないんだけど)を失っていたのだ。
   最も、往年の切れ味だかなんかを取り戻したところで、使い道ないんだけどね。

ああ、なんと可哀相なヘイドレク(棒読み)。

43 :名無し物書き@推敲中?:2010/05/17(月) 20:49:31
「…で、どうやったらボクのおちんちんは昔のような天叢雲剣に戻せるんですか?」
ヘイドレクは巨大ナメクジに平身低頭尋ねた。その姿は卑屈そのものだった。
教えてやるから自分のウンコを食べてみろ、と命令したら即実行しそうなほどだ。

「教えてほしい? なあヘイドレク君、本当に教えてほしい?」
巨大ナメクジは目玉と角をゆさゆさと揺らしながら、もったいぶった口調だ。
ヘイドレクに、わかっているよな、察しているよな、というジェスチャーなんだよこれ。

でもヘイドレクはとても鈍感だった。
こいつはこの期に及んで、卑屈な態度で額を地面にこすり付ければ、人の好意を受けられると本気で思い込んでいるのだ。

   ってか、ここまで恥多きダメダメ人生を歩んできたんなら、さすがにそろそろ気づけよな。
   そういうレベルだからお前は英雄だか作家だかになれず、変態そのものとして平安時代に飛ばされたんだから。

   あ、そうだ。ヘイドレクは今、平安時代にいるんだっけか?
   すっかり忘れていたよ。ゴメンねヘイドレク。でも反省はしないよ。

「は、早く教えてくださいよナメクジさん。おちんちんが痒くてたまらないんです」
ヘイドレクは泣き言をほざいて懇願する。巨大ナメクジはイライラした。

   つーか人から何かを教えて欲しいときは、銭とか貢物を差し出すってのが常識じゃん。
   ってか俺は巨大ナメクジであって人じゃないんだけどさ。
   ともかく、このおちんちんがイボだらけの醜男は、何でそれに気づかないかね?

ついに巨大ナメクジはキレた。

「あのなあっ、人様から…いや、誰かから何かを教わるときは、礼ってもの出すのが常識だろコラっ!」
巨大ナメクジは目玉と角を怒りで震わせながらそう怒鳴りつけた。

44 :名無し物書き@推敲中?:2010/05/17(月) 20:50:32
「ひいいっ!」
ヘイドレクは怯えた。そう、根っからのビビリで臆病者のヘイドレクさまだ。
ナメクジにビビらされて思わずガクブルで悲鳴がキャーなのだ。
だが、今はそれ以上におちんちんが痒かった。

恐怖を忘れてしまうほどのおちんちんのかゆみを、これをお読みの極僅かな読者の皆様は体験したことがありますか?
それはとてもとても辛いものなのです。とてもとても悲しいことなのです。

ヘイドレクは懐から一つの皮袋を取り出した。
今まで己のちんちんが痒くなるたびに、この中身をちんちんにこすり付けてかゆみを抑えていたのだ。
そう、ある程度消毒されたうえに、ざらざらした感触はちんちんに心地よい刺激を与えて、
失ってしまった華麗なる勃起が少し甦ったりするのだ。

「あの、何も無いんですけど…これでどうでしょうか?」
その袋をヘイドレクはおずおずと差し出した。

「ん? これは何かな、ヘイドレクくん?」
ナメクジは袋を奪い取りながら(ちなみにツノで)、ヘイドレクに尋ねる。

「それを塗ると傷口が消毒できる上に、ちょっとだけですけど勃起が甦るんです」
これを差し出しても、おちんちんが治るんだから関係ないので、ヘイドレクはにこやかに答えた。
そう、おちんちんの疼き(非性欲系の疼き)やかゆみ、そして失われた勃起を呼び戻してくれたそれは、もういらないのだ。

「ほ、ほう! これを塗ると体が綺麗になるうえに、ちんこがビンビンになるのか!」
巨大ナメクジは喜んだ。

最近、中年型早漏の上に、精力減退による勃起不全(ED)状態なっている巨大ナメクジ。
妻に不満がられ、愛人のメアリーちゃんもちょっとご機嫌斜め。

だが、このクスリをぬりぬりすれば…
妻はベッドで絶叫し夫婦仲は改善。オマケにメアリーちゃんも俺に首っ丈!

45 :名無し物書き@推敲中?:2010/05/17(月) 20:55:21
「ふうむ…ヘイドレクくん。それは大変ありがたい。」
巨大ナメクジはそういうと、袋の中身を手ならぬツノの掌(とりあえずそういうのがあると思って)に取り出した。
白くキラキラした粉末の山…これをヌリヌリすれば、15歳のときの勃起が甦るのか!

巨大ナメクジはうひょひょと笑いながら、それを己のちんちんに、そして全身に塗りたくった。
おおう、痺れるような感触がとてもナイス! なんか体が引き締まって若返るようなそんな感じだあ!

「で、ヘイドレクくん。これって一体なに?」
ナメクジは一心不乱にそれを体中に刷り込ませながら尋ねた。

「えっと、それは塩です。」
ヘイドレクはおずおずと答えた。

「塩…塩だってっ!?」

何かありがちなオチで、瞬く間に干乾びてゆくナメクジ。
そのナメクジを見ながらヘイドレクは驚愕する。そうだ、ナメクジに塩なんかかけたら大変なことになるんだった。

そして重大なことを聞き忘れた。
そう、この大変なことになったおちんちんをどうやって治すか、その方法だ。

46 :名無し物書き@推敲中?:2010/05/17(月) 21:10:31
「ナメクジさんっ! ナメクジさん! 死ぬ前に教えてくださいっ!」
ヘイドレクは萎びゆく巨大ナメクジにすがり付いて絶叫した。
ダンプカーほどあったナメクジの巨大は、いまや250ccのバイクくらいのサイズに。しかもさらに縮んでゆく。

「ヘイドレク…おのれ、おのれよくも!」
巨大ナメクジ(今は虚勢豚ほどの大きさだけど)は断末魔でそう叫ぶと、そのまま息絶えた。
ちなみに設定では、この巨大ナメクジは本当にヘイドレクのおちんちんの治療法を知っていたのだ。
だがそれも今は闇の奥。可哀相にヘイドレクのおちんちんを治療するチャンスはこうして潰えてしまったのだ。

「あああっ!」
ヘイドレクは泣いた。
ちんちんのかゆみと、そのかゆみを抑える塩を失ってしまったことを嘆いて。
そして己のおちんちんを治せるチャンスを自ら潰してしまったことを悲しんで。

森の中でヘイドレクは、ただ一人、泣き続けた。
その哀れな姿を、夜空に浮かぶ月だけが見ていた(顔を顰めて)。

47 :名無し物書き@推敲中?:2010/05/18(火) 19:34:30
勇者ヘイドレクはこうして巨大ナメクジ型モンスターを打ち倒した。
びっくりだね、偶然ってのは恐ろしいもんだね。

ヘイドレクはこれによって経験値を25pt、ついでに23ゼニーの金を手に入れた。
現在、ヘイドレクのレベルはLv.1であり、あと75pt獲得すればLv.2にアップする。

なお、ヘイドレクの所持品は以下の通りである。

  1、ピコピコハンマー ”エクスカリバー”
  2、胸に”がんだむ”とかかれた安物のTシャツ
  3、ブリーフパンツ5枚

  現金 23ゼニー

さあ、ヘイドレクくんよ。これから頑張って魔王を斃して(魔王がいるかどうかは知らないけど)、英雄になるんだ!

48 :名無し物書き@推敲中?:2010/05/18(火) 20:45:18
再びヘイドレクが森を歩いていると、今度は悪戯な雌ギツネが現れた。

「私はキュートでセクシーなフォクシー・レディー、マリリンよ! こんにちは、ヘイドレクくん、うふっ!」
セクシーむんむんの雌ギツネ、マリリンの狙いはただ一つだ。

それは財布の中に23ゼニー(しけた額だが)、
そして、ヘイドレクが手にしている魔法のピコピコハンマー”エクスカリバー”なのだ。

そう、魔法のピコピコハンマー”エクスカリバー”…それはヘイドレクに与えられた呪具だ。

ヘイドレクが願い事を唱えて振ると、10回に1〜2回くらいの割合で中途半端にそれをかなえてくれるのだ。
しかもそれが叶った暁には、その恩寵の十倍ほどの苦痛が齎されるという、なんとも素敵な道具。

でも、この魔法のピコピコハンマー”エクスカリバー”には凄い秘密があるんだってさ!
その秘密はね…おっとっ! これを言っちゃいけないんだった! ゴメンね、意地悪する積もりじゃないんだけどさあ。

まあともかく、何の因果か、その魔法のピコピコは現在ヘイドレクの手元にあるんだ。
どうしてって? 知らないよそんなの。ヘイドレク委員会の人たちが鼻くそほじりながら適当に決めたんでしょ。

まあいいさ、それでも。ヘイドレクくんは平安時代に飛ばされて、何でか今はここにいる。
森のみんなもそれを噂しあっていたよ! ヘイドレクって薄らバカがそれを持って森の中をフラフラ歩いているってさ!

49 :名無し物書き@推敲中?:2010/05/18(火) 20:46:10
さて、当初は色仕掛けでヘイドレクを篭絡することも考えた雌ギツネのマリリンだったが、
流石に相手にするにも限度があるほど、ヘイドレクはキモイ男だった。

困惑した顔でこちらを見ながら(つーか目線エロいよ!)ちんこをボリボリ掻いているヘイドレクの姿。
その姿にマリリンは思わず吐き気を催した。

   何て、何て気持ちワルい男なのかしら。
   しかもこの男、ガチなロリでファンタジー作家志望なんですって! 笑わせてくれるわね。

   でも現在はこの気持ちワルいにも程があるこの男がピコピコの持ち主。
   神は何でこんなバカにこの魔法の呪具を与えたのかしら?

   もう、こうなったら…強引にバトルで奪ってしまえばよろしいのよヲホホホホホッ!

「ヘイドレクくん、問答無用だわっ! 死になさい!」
そう叫ぶとマリリンは頭のてっぺんに葉っぱを乗せて色っぽい声で呪文を唱えた。
ドロロンッ、ドロンッ! と白い煙に包まれたマリリン。

その煙の中からは、何と言うことだろうかっ!
ヘイドレクおなじみの人物が現れたのだっ!

50 :名無し物書き@推敲中?:2010/05/18(火) 20:47:18
「は、班長じゃないですか! お久しぶりです、ヘイドレクですっ!」
ヘイドレクは懐かしそうに語りかけた。

そう、そこに立っていたのは、謎の製品を作る謎の工場でヘイドレクが派遣工として仕事していた際、
そのヘイドレクのラインを統括する班長であった菅原さんであった。

「おうコラッ! ヘイドレク!」
菅原さんはヘイドレクに向かって恫喝した。

「ひいいっ!」
ヘイドレクはガクブルで膝をつき、怯えて涙を流し始めた。

そう、菅原さんは元・暴走族でケンカばりんばりん。
ヘイドレクみたいなアホは体の言いカモとして、いつも毟られていたのだ。

地面に這い蹲るヘイドレクを、菅原さんはドカリとけりつけた。
そのキックがぶち込まれるたびに、ヘイドレクは「プギーッ!」と情けない悲鳴を上げる。

「オラアッ! いつもどおり銭出せや銭! でないとお前、ガチホモの松下さん言いつけてケツ掘ってもらうぞっ!」
菅原さんは怒鳴りながら、ヘイドレクの頭をサッカーボールキックで蹴り上げる。

「ふごっ!」
鈍い音とともにヘイドレクの頭がゆれ、同時にヘイドレクは嘔吐を始めた。
その様子を見た菅原さんはさらにメートルを上げ、もはや北斗百烈拳状態で殴る殴る。

ヘイドレクは鼻血を垂れ流し、額や目じりが切れ、大変なことに!
どうしたヘイドレク! お前は英雄だろ! こんな理不尽な暴力の前に屈してしまうのか!

51 :名無し物書き@推敲中?:2010/05/18(火) 20:48:41
…簡単に屈してしまった。

ヘイドレクは泣きながら財布の中身全て(23ゼニー)と、あの魔法の呪具ピコピコハンマーを菅原さんにさしだした。

菅原さんはそれを受け取り、「チッ! しょぼいなヘイドレク。これっぽっちかよっ!」と言って一発顔面にストレート。
ヘイドレクはそのまま地面に倒れ付し、ションベンを漏らし始めた。

「次会ったときはせめて100ゼニーくらい持ってろよな、ヘイドレク。でないと松下さんに掘ってもらうからなっ!」
そんなヘイドレクを嘲りの目で見下ろしながら、菅原さんは恫喝する。

地面に号泣するヘイドレクを後に、菅原さんはその場を後にする。
すぐにキツネの姿に戻ったマリリンは、物陰からヘイドレクの泣き姿を見てくすくすと笑い、森の奥へ消えていった。

ヘイドレクの現在の所持品は以下の通りである。

  1、胸に”オラ、孫悟空”と書かれた安物のTシャツ
  2、ブリーフパンツ5枚

  現金 0ゼニー

さあ、素寒貧だヘイドレク! これからどうする!

52 :名無し物書き@推敲中?:2010/05/20(木) 20:20:59
「ヘイドレクくん、そのイボだらけのちんちんを治したかったら、森の奥にある泉まで行ったらいいよ」
悪戯な妖精ラスコーリニコフはクスクスと笑いながらヘイドレクに行った。

「ほ、ホント! 本当にボクのおちんちんのイボイボが治るの!」
ヘイドレクは下半身を晒してオロナイン軟膏をちんちんにぬりぬりしながら叫んだ。
その汚らしい姿を見下ろす妖精ラスコーリニコフの愛くるしい顔に、一瞬嫌悪の表情が浮かぶ。

何て気持ち悪い男なんだ、しかも小さいちんちんはイボイボで…。
つーか俺も色々忙しいっつーのに、役目とはいえこんなクズみたいな奴に助言しなきゃならんとはね。

「ああそうさ、ヘイドレクくん。ついでにその泉に行けば泉の女神が現れて、新しいエクスカリバーをくれると思うよ!」
シナリオ通りのセリフをきちんと喋ったラスコーリニコフ。
とりあえずこれで俺の役割はおしまいだぜ、とラスコーリニコフは笑顔のまま心の中で呟いた。

そう、おしまいなのだ。

これからこの愛くるしい妖精ことラスコーリニコフさまは金貸しの老婆のところにいって強盗殺人やるんだぜ。
んで、裁判の席にはソーニャが立たされ、ネフリュードフ公爵という別名つかってオイラが彼女を助けるんだ。

あれ、なんかおかしいぞ?
まあいいや。

53 :名無し物書き@推敲中?:2010/05/20(木) 20:22:37
ところで目の前では下半身丸出しのヘイドレクが小躍りしている。

薄くなった頭髪をパサつかせ、弛んだ腹の肉をブヨブヨさせながら。
ちいさめのおちんちんはその腹の肉の下でイボだらけ…もうこいつ死んだほうがいいんじゃね?

「とりあえずヘイドレクくん、この森の道をまっすぐいくんだよ」
妖精ラスコーリニコフは鬱蒼と繁る森の中に通じる一本の獣道を指差して言った。

「この道をずっと行くとだね、頭がライオン、体がネズミ、両手が蟹で両脚がバッタ、そんで尻尾が薔薇ムチという怪物がいるんだ。
そいつはね、ヘイドレクくん…ちょっと聞いてんの? ちんちんいじくってないで人の話聞けよ! ってか俺は可愛い妖精なんだけどさ。
で、その怪物はね、ヘイドレクくんになぞなぞを出すんだ。…ってかおい! ヘイドレクくん。イボイボのちんちんでオナニーすんなよ!
その怪物のなぞなぞに答えられなかったら、ヘイドレクくんは食べられちゃうん… まあいいや。」

軟膏を塗っているうちにちんちん(小さい)がびんびんになってしまったのだろう、ヘイドレクくんはオナニーを始め瞬く間に発射。
マジでクズだなこいつは、とラスコーリニコフはもうどうでもよくなった。

「じゃあねヘイドレクくん。もう会うこともないからさよなら!」
そう言うと妖精ラスコーリニコフは飛び去っていった。

さあ、ヘイドレクくん出発だ!
目指すは森の奥の泉。そこでおちんちんを治し、さらには新しいエクスカリバーを手に入れるんだ!

ヘイドレクの現在の所持品は以下と通りである。

  1、胸に”私はゲイです”とプリントされた安物のTシャツ
  2、汚れたブリーフパンツ五枚
  3、殆んど酢になったワインのボトル一本
  4、食いかけのビーフジャーキー

  現金 42ゼニー(ラスコーリニコフがある人物から頼まれて仕方なく渡したもの。
             実は250ゼニーを渡はずだったが、ラスコーリニコフが横領した)

54 :名無し物書き@推敲中?:2010/05/21(金) 20:48:13
ヘイドレクが歩いていると頭がライオンで体がカタツムリで足がなぜか100本近く生えててしっぽが馬の怪物が出てきた。
あれ?妖精さんが言ってた怪物と違うなあ…と、ヘイドレクは恐怖でションベンちびりながら思った。

55 :名無し物書き@推敲中?:2010/05/24(月) 03:09:39
ヘイドレクが驚いていると、さらに頭が猪で体がカローラUで手がテナーサックスで足がコロコロでしっぽがちんこになってる怪物が現れた。
しかもぶおーっ、ぶおーっ、と不気味な吠え声でヘイドレクと>>54の怪物を威嚇している。

56 :名無し物書き@推敲中?:2010/05/25(火) 19:31:09
「こいつは俺の獲物だ、貴様みたいな不恰好な怪物には渡さんぞ!」
>>55の怪物はその両手のテナーサックスをぶおぶおと吹き鳴らしながら叫んだ。

「何だと! この不恰好な獲物は俺が先に見つけたんだぞ!」
>>54の怪物も負けじと怒鳴り返している。

腰が抜けて地面にへたり込んだ勇者ヘイドレクの目の前で、二匹の怪物はにらみ合い、威嚇し合っている。
静かな森の中で、その吠え声は響き渡り、辺りの小鳥達がギャアギャアと泣き声を上げて飛び立った。

今にも戦いが始まりそうな雰囲気。
とってもやばめな感じ。

「と、ところで怪物さんたち? ボクは食べられてしまうんでしょうか?」
勇者ヘイドレクはウンコとおしっこをちびりながら、おずおずと尋ねた。

そう、怪物のあの鋭いライオンの牙で、贅肉だらけの肉体を食いちぎられ、骨をばりばりされてしまうのではないのか?
その恐怖を想像し、ヘイドレクはさらにうんちをもりっ、と絞りだしてしまう。

すると怪物たちはにらみ合いをやめ、殆んど同時のタイミングでヘイドレクの方を向いた。
爛々と輝く瞳が、ヘイドレクに注がれる。

ところがどうしたことだろうか? 怪物たちはゲラゲラと笑い出した。

「食べる? 貴様を食べるだと? バカ言ってんじゃねーよ!」
「テメエみたいな汚らしいクズなんか食ったら、こっちが腹壊しちまうって!」
「ってか、お前、自分の醜さと汚らわしさをいい加減に理解しろっての!」

そう口々に罵ると、怪物たちはさらにゲタゲタと大笑い。
ヘイドレクは困惑した。じゃあ、何でボクは狙われているんだろう?

57 :名無し物書き@推敲中?:2010/05/27(木) 00:30:43
ヘイドレクが怪物たちに狙われている理由、それは簡単である。
というか、ヘイドレクは今までそのことに気づかなかったのだろうか?

ヘイドレクの模様を監視していたヘイドレク委員会の委員室の面々は大爆笑。
いまさら何をぬるいこと言ってるんだ、と委員たちは腹を抱えながら突っ込みを入れた。

そう、ヘイドレクはこの壮大なサーがの主人公だからだ。

今の所ヘイドレクのレベルは1、経験値はなんだかんだで減らされて(ペナルティ)マイナス25。
アイテムも殆んどゴミレベルで、事実上の浮浪者と変わらない状態だ。

とりあえず当面の予定としては幾つかの関門を乗り越えてもらおう。
んで、最終的にはこの世を支配しようとしてる魔王を斃してもらう。

58 :名無し物書き@推敲中?:2010/06/19(土) 17:59:10
ある日、ヘイドレクが森の中を進むと、熊さんに出会った。

「きゃーっ!」と黄色い悲鳴を上げてヘイドレクは逃げだす。使えねえ勇者さまだな。
するとどうしたことだろう、熊さんがヘイドレクを追いかけてくる。

やべえぜヘイドレク、絶体絶命じゃねーか。

59 :名無し物書き@推敲中?:2010/07/01(木) 20:03:38
「ああっ!」
森の泉に向かってションベンをしてたヘイドレクは思わず悲鳴を上げた。

それは俄かには信じがたいことだった。

小さめでタップリの包皮が被ったおちんちんから、鼻を刺すような臭い尿を垂れ流していたヘイドレク。
ジョボジョボ〜ジョボジョボ〜と小粋な水音を立て、見る見る泉を穢してゆく。

そのときだった。ヘイドレクのおちんちんがとれてしまったのだった。

ヘイドレクの肉体から分離したおちんちんはそのまま泉にポシャン。見る間に水底に沈んでゆく。

「ああっ! …ああっ!」
ヘイドレクの声は言葉にならなかった。
泉の底に消えてゆく己のおちんちんを見つめながら、ヘイドレクは奇妙な悲鳴を上げる。

「ど、どうしよう! ボクのおちんちんが、おちんちんが無くなってしまったよおおっ!」
その場で跪くヘイドレク。だがその股間には自慢のエクスカリバーはもう無い。

これから数多くの美女を刺し貫き(予定)、法悦の蜜壺をかき回す(予定)のエクスカリバー。
現在は排尿とオナニー以外の何も役に立たない汚らしいシロモノでも、ヘイドレクにとっては大事な相棒。

それが今、泉の底に失われてしまったのだ。

「うわあーっ!」
森中に響き渡る泣き声を上げるヘイドレク。
木立で羽を休める鳥達は怯えて飛び立ち、リスたちは慌てて穴倉に隠れた。

これからヘイドレクはどうやって尿をすればいいのか?
大好きなオナニーはもうできなくなってしまうのか?

ヘイドレクはそう考え、思わず慟哭した…。

60 :名無し物書き@推敲中?:2010/07/01(木) 20:04:49
…どれくらいの時間が経ったのだろうか。
すでに森は夕日の朱に包まれ、鳥達はそれぞれ己の巣に帰ってゆく。
月は東の空に赤々とした姿を見せ、宵の明星がまるで針の如く鋭い輝きを見せる。

だがヘイドレクは泣いていた。
泉の畔でただ一人、おちんちんを失ってしまった悲しみに打ちひしがれて。

そんな時だった。

ヘイドレクの尿に穢された泉の水面が、ゆっくりと揺らぎ始めた。
さざ波が湧き、夕日に染まる水面が沸き立つ。

ヘイドレクは目を上げた。
その泉の変容を、涙が滲む汚らしい目でジッと見つめる。

するとどうであろう。

その泉の中から、一人の美女が現れたのだ。
そう、泉の女神さまだ。

「…う、うぇ? えへっ?」
ヘイドレクはその美しい女神を見つめながら、わけの分からない声を発した。

61 :名無し物書き@推敲中?:2010/07/01(木) 20:09:52
女神の顔は美しかった。

端正な面立ちに、深い緑の瞳…だが、その瞳はどこか怒っているようだった。
その目は泉の畔に佇むヘイドレクを見つめる…まるで汚物を見るような、軽蔑しきった眼差しで。
そういえばその表情もどこか強張っている。

「…あなたが、ヘイドレクですね?」
女神はヘイドレクに言った。その声はどこかキツい。

「…う、えうっ?」
ヘイドレクは女神を見上げながら、先ほどと同じくわけの分からない音を発するのみ。

女神さま、とっても綺麗だな、こんな女の人とエッチなことしたいな。
でも今ぼく、おちんちんなくなってしまったし。

そんなことを呆然と考えているようだ。

痺れを切らした女神さまが、今度は怒気を含んだ声でヘイドレクに言った。

「おいコラ、アンタがヘイドレクなんだろ? あ? 今、私の住まいであるこの泉にションベンした罰当たりはよっ!」
女神さま、威厳も何もあったもんじゃありません。
かつてアーサー王にエクスカリバー(こっちは本物)を授けたあの時とは、比べものにならないです。

62 :名無し物書き@推敲中?:2010/07/01(木) 20:15:27
「あ、はい。…あの、その、ボクがヘイドレクです」
ヘイドレクは怒気に押され、思わずそう返事した。
長いことアク禁が続いて、すっかり調子が狂ってしまったせいもあるのだろう。

「そうか、面倒くせーから前置き無しな! アンタ、私のこの泉にちんこ落としたんだろっ?」
女神さまはもはや怒鳴りつけるようにヘイドレクに言う。

「…ったく、冗談じゃないわよ。私のこの神聖な住まいにションベン引っ掛け、汚ねーちんこまで捨てやがってよっ!」

「いや、あの…ちんちんは捨てたんじゃないんです。何故か突然、取れてしまったんです」
ヘイドレクは弁明した。

「どーでもいいわ、んなもん。で、アンタの落としたちんちんは以下の三つのうちどれ?」
と言い捨てると、女神はなにやらゴソゴソと準備を始めた。

まさか、とヘイドレクは思った。

  三つのちんちんのうち落としたのはどれ?って、
  これはイソップ童話の金の斧、銀の斧の話じゃないか!

  ということは、ここでボクが、自分のおちんちんを正直に指し示せば、
  金のちんちんと銀のちんちんを手に入れられるのでは?

  てか、金のちんちんとか銀のちんちんとか、一体なんだろ?

ヘイドレクは混乱した。

そんなヘイドレクの困惑をよそに、女神は陳列台を水面の上に置き(女神ならではの魔法だよ)、
さらに手袋を填めた手で長い二本の棒差しを持ち、それでおのおののちんちんをつまんで並べた。

63 :名無し物書き@推敲中?:2010/07/01(木) 20:18:51
陳列台の上にならんだちんちんは以下の三つだった。

 1、金色ラッカーで塗られた、勃起時7センチの包茎ちんちん
 2、銀色ラッカーで塗られた、勃起時7センチの包茎ちんちん
 3、ごく普通の、勃起時7センチの包茎ちんちん

どれも同じじゃないか、とヘイドレクは思った。
こんな時、ボクはどうすればいいんだろう、素直に3番を選ぶべきか?いや、えーと…

「とっとと選びな、この愚図。 あたしの前にこんな汚らしいものを何時までも並べさせんなよ! ボケッ!」
女神はヘイドレクを怒鳴りつけ、プレッシャーをかける。

ヘイドレクは咄嗟に、こう答えた。

「3番のちんちんが、ボクのおちんちんです」

その瞬間だった、泉の水面は一斉に輝きを放った(ただの演出であって、別に意味はない)。
そして女神さまは、ヘイドレクに向かって優しく(だけどその奥には明らかに嫌悪がある)声で言った。

「正解です、ヘイドレクさん。あなたの正直さを湛え、この三つのちんちんを全部上げましょう…ってかとっとと持ってけ」
そういうと女神は、さらに煌々と輝きを放ち、再び湧きたった泉のさざ波の中に消えていった…。


64 :名無し物書き@推敲中?:2010/07/01(木) 20:22:36
「…はっ!」
ヘイドレクは目覚めた。どうやら今まで気絶していたみたいだ。

醜く弛んだその肉体をゆっくりと起こした。
丸々とした月は天空高く登り、凄愴たる赤き輝きを降り注いでいる。

不思議なことに、目の前の泉はどこかに消えていた。
あれはやはり魔法の泉だったんだな、とヘイドレクは思った。

森の中で、今まで自分はぐっすりおねむだったようだ。

しかしおちんちんが突然とれて泉に落っこちてしまったような気がしたんだが?
あれは夢、悪い夢だったんだ、ヘイドレクはそう一人合点した。

それよりも、寝ている間に膀胱がパンパンになっているようだ。
激しい尿意が、ヘイドレクを苛める。

ヘイドレクは慌ててズボンを下ろし、ブリーフパンツを下げた。
そしてちんこをさらけ出し、尿を垂れ流し始めた。

その瞬間だった。

「うわあーっ!」
ヘイドレクは、夜の闇に包まれる森の中でに響き渡るような絶叫を上げた。

股間にちょこんと生える小さめのおちんちんが三本。
そのおのおのから、月明かりを受けて輝く尿の放物線が放たれていたのだ。(了)

65 :名無し物書き@推敲中?:2010/07/04(日) 20:38:04
ヘイドレクは包茎キングギドラというあだ名がつけられた

66 :名無し物書き@推敲中?:2010/07/08(木) 00:32:09
おなかのすいたヘイドレクは、気づいたらぶどう園にいた。
するとどうだろう、ぶどう園にあるぶどうの木には、おいしそうなぶどうの房がぶら下がっているではないか!

67 :名無し物書き@推敲中?:2010/07/14(水) 20:56:31
外人コス名作
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お気に入り
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68 :名無し物書き@推敲中?:2010/07/14(水) 21:05:33
かわいい
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ある意味かわいい
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69 :名無し物書き@推敲中?:2010/07/14(水) 21:21:06
ロシア人の綾波レイコスプレ
http://livedoor.2.blogimg.jp/blv42/imgs/4/a/4a4f5abe.jpg
http://livedoor.2.blogimg.jp/blv42/imgs/8/a/8a50dc21.jpg
http://livedoor.2.blogimg.jp/blv42/imgs/8/0/80908f53.jpg
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http://livedoor.2.blogimg.jp/blv42/imgs/9/3/93b637a5.jpg
ロシア人のセーラームーンコスプレ
http://livedoor.2.blogimg.jp/dqnplus/imgs/6/a/6ae03c82.jpg
ウラー
http://livedoor.2.blogimg.jp/dqnplus/imgs/4/9/4962c81b.jpg
スラヴ系元ウク首相のレイア姫コスプレ
http://www.prognosis.ru/upimg/m_7049.jpg
http://club.osinka.ru/files/03_537.jpg
http://image.newsru.ua/pict/id/large/26609_20070816153529.jpg
http://image.rus.newsru.ua/pict/id/large/71491_20080328144651.jpg
http://www.rosconcert.com/ic/pix.lenta.ru/news/2006/12/04/paper/picture.jpg
http://www.newyork.ru/ic/img.lenta.ru/news/2006/09/12/tima/picture.jpg
ロシアの美声 オリガ(攻殻機動隊の歌も歌ってる)
http://www.youtube.com/watch?v=EIVgSuuUTwQ
http://www.youtube.com/watch?v=0bOhI-P6de4&feature=related
http://www.youtube.com/watch?v=AIbzZPePNKg
ロシア人初音ミクコスプレ
http://fc09.deviantart.com/fs31/i/2008/214/1/0/Cosplay_Miku_Hatsune_Vocaloid_by_Mariyumi.jpg
その他ロシア人コスプレ
http://www.nicovideo.jp/watch/sm7270560

70 :名無し物書き@推敲中?:2010/07/14(水) 21:21:53
台湾が始まりすぎな件について

(台湾中央研究院デジタルアーカイブ)
ttp://livedoor.2.blogimg.jp/insidears/imgs/8/f/8f0abcd5.jpg
ttp://livedoor.2.blogimg.jp/insidears/imgs/e/c/ecd32d0a.jpg
ttp://livedoor.2.blogimg.jp/insidears/imgs/a/f/af7db836.jpg
ttp://livedoor.2.blogimg.jp/insidears/imgs/6/9/693dd7a1.jpg
ttp://livedoor.2.blogimg.jp/insidears/imgs/e/0/e0b78a49.jpg
ttp://livedoor.2.blogimg.jp/insidears/imgs/6/5/651cd8de.jpg

駆逐艦・雪風(丹陽)って台湾海軍の旗艦になってからも中共側と海戦/溺者救助やってるんだね。
これ読むまで知らんかったわ。
あと丹陽って「赤い太陽」って意味みたいだね。台湾に引き渡された後も帝国海軍の象徴だったのか。

もうね、3枚目の大和カッコヨス
この「陽字家族」アニメ化して欲しーわマジで



こんなの日本人以外できなかったんだけど、台湾はどうしたんだ。
日本もバンバン擬人化して欲しいねw


71 :名無し物書き@推敲中?:2010/07/18(日) 21:40:10
同一人物
http://livedoor.2.blogimg.jp/hatima/imgs/6/c/6c032c0f.jpg


ttp://livedoor.2.blogimg.jp/greenew/imgs/d/4/d4e5997b.jpg
ttp://blogimg.goo.ne.jp/user_image/53/7d/23a4e5251a1dc63deba99c7e27a44a06.jpg
ttp://robinhood.up.seesaa.net/image/1159687681_1.jpg
ttp://robinhood.up.seesaa.net/image/vi9132261583.jpg

ttp://blog-imgs-38-origin.fc2.com/n/e/t/netateki/12681840560002.jpg

72 :名無し物書き@推敲中?:2010/07/18(日) 21:44:30
http://blog-imgs-24-origin.fc2.com/t/r/i/trivia/a071116demon1.jpg
デーモン小暮閣下

73 :名無し物書き@推敲中?:2010/07/23(金) 03:00:47
ベテルギウスの最後で、このような状態になる。
http://d.hatena.ne.jp/active_galactic/20100213/1266065518


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